Junko Fujita
[東京 29日 ロイター] - 日本の2年債利回りが、30年間超えることのなかった2%の節目に迫りつつある。市場が日本の長年にわたるデフレとの闘いがついに終わり、日銀が政策金利を「引き締め的な水準」にまで引き上げる必要があるとさえ考えていることを示す兆候との受け止めもある。次の利上げの時期について、日銀短観で見極めが進むとの見方も出ている。
原油高や人工知能(AI)関連投資の拡大がインフレを刺激する中、世界的に利回りが上昇基調となっている。とりわけ日本の中期金利上昇ペースは速い。背景にあるのは、これまで利上げに慎重姿勢だった日銀が、不安定な円を下支えするためにタカ派姿勢へ転じつつあると、投資家が見始めていることだ。
2年債利回りは、日銀の政策金利に最も敏感な年限でもある。その水準は、過去12カ月で2倍となり、2024年の同時期に比べて6倍以上の水準に達している。
高市早苗首相がほぼ1年前に就任した当時とは対照的な状況といえる。市場は高市氏が日銀に対し、低金利維持と緩やかな利上げペースを求めると予想していた。その結果として生じた円安は、7月の日米協調の円買い介入とベセント米財務長官からの金利を持続的に引き上げるべきとの圧力の高まりにつながった。
第一ライフ資産運用経済研究所の首席エコノミスト、藤代宏一氏は「このような政治的・外交的な背景のもとで、市場は日銀が連続利上げに踏み切る可能性を意識し始めている」と指摘する。
日銀による今月の利上げ後も円の下落圧力が続いていることや、市場でのレートチェック観測、日米双方からの口先介入は、通貨が政策上の課題となっていることを示す。これがさらなる利上げにつながるとアナリストらは予想している。
ニッセイ基礎研究所の金融調査室長、福本勇樹氏は「マーケットは円安経由でインフレが悪化することを懸念している」とみる。「以前なら為替介入による円高に期待していたが、今は日銀の利上げにより円安を阻止するとの見方が強まっている」と話す。
日本の5年債利回りは28日に過去最高となる2.43%を記録し、利上げサイクルの終着点(ターミナルレート)の水準と市場がとみなす、2年先1カ月物金利スワップレートは過去最高の2.5%に上昇した。
短資会社の東京短資によると、スワップレートに基づく10月の政策金利1.5%への利上げ確率は36%、12月の利上げはほぼ確実と織り込んでいる。
次の利上げタイミングは、1日に発表される日銀短観の結果次第となるかもしれない。りそなアセットマネジメントのリードファンドマネージャ―、藤原貴志氏は、10月の利上げもマーケットは排除していないと指摘する。「短観で設備投資が底堅いということがあれば金利上昇の影響が限られているということになり、10月にも利上げがあるという見方が高まる可能性がある」と藤原氏は話している。
(藤田淳子)