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[北京/東京/ワシントン 28日 ロイター] - トランプ米大統領は、先週首都ワシントンで行った中国の習近平国家主席との華やかな首脳会談について、自身と習氏との強固な個人的関係を印象付ける場になれば良いと考えていた。ところが実際に得られた成果が限定的だったため、主要な問題を巡る米中両国の隔たりが依然として大きいことを浮き彫りする格好になった。習氏にとっては、11月の米中間選挙を控えるトランプ氏に大きな政治的成果を与える理由がほとんどない、というのが専門家の間で改めて強まった見方だ。

米国のシンクタンク民主主義防衛財団(FDD)の中国問題担当シニアディレクター、クレイグ・シングルトン氏は「米中関係は、管理された膠着状態に落ち着いている。手の込んだ華やかな演出が重要になるのは、まさに実質的な進展として示せるものが依然として少ないからだ」と喝破した。

両国は、600億ドル相当の安全保障上の懸念が少ない品目に関して関税を引き下げることで合意したと発表したが、実施時期は示されなかった。その一方で、より包括的な貿易合意の期限は来年に先送りされた。

また今回の訪米で習氏に中国企業の最高経営責任者(CEO)による代表団が同行しなかったことも、中国からの投資に対する米国側の警戒感を払拭する難しさを色濃く映し出した。複数の専門家は、両首脳が5月の北京での会談で打ち出した双方向の投資構想が実際に機能するのかについても疑問を投げかけている。

シンガポールのS・ラジャラトナム国際関係大学院の上級研究員、ドリュー・トンプソン氏は「トランプ氏と習氏の首脳会談は前向きな政治的雰囲気を生み出したものの、双方の意見の相違を縮めることも、相互不信を和らげることもできなかった」と語った。

<「宣伝戦」では中国が勝利>

ホワイトハウス高官らは会談前から期待値を抑えようとしており、両首脳が年末までに深センとマイアミで開かれる国際会議でも顔を合わせる予定であることを強調していた。

それでも今回の首脳会談は、中東やウクライナなどの問題におけるトランプ氏の影響力の限界を露呈した外交週間を締めくくる結果に終わった。対照的に、北京を拠点とするコンサルティング会社トリビアムの地政学アナリスト、ジョー・マズール氏はこの会談について、中国にとって「PR上の勝利」になったと評価した。

トランプ氏は当初から習氏を手厚くもてなした。相手はトランプ氏自身がかつて、不公正な貿易慣行によって「米国を殺している」とまで批判した国の指導者にもかかわらず、トランプ氏は慣例を破り、自ら空港に出向いて習氏を出迎えた。米大統領が外国首脳の空港出迎えを行うのは11年ぶりのことだった。

その後、政府高官や大手テクノロジー企業の有力者らが集まった豪華な国賓晩餐会で、トランプ氏は習氏との関係について「これほど良好だったことはない」と語った。

中国外務省の元当局者で、北京に拠点を置くシンクタンク「グローバル・ガバナンス・インスティテューション」の副会長、シェン・ウェイジョン氏は「米国側が習近平氏に示した異例とも言える厚遇は、中国側の期待に十分応え、それを大きく上回るものだった。中国側は、首脳訪問によって必ずしも具体的な数の合意や、関税引き下げといった成果を出さなければならないとは考えていない。両首脳が会い、互いにうなずき、握手を交わす。その事実だけでも大きな意味を持つ」と述べた。

確かに習氏には譲歩を急ぐ理由もない、というのが専門家の見立てだ。ハイテク、自動車、防衛など幅広い分野に不可欠なレアアース(希土類)の生産で中国が圧倒的な地位を占めていることは、北京に強力な交渉材料を与えた。加えて、トランプ氏が関税措置をちらつかせる中でも、中国と世界各国との貿易は大きく拡大している。

とはいえ、トランプ氏がまったく成果を得られなかったわけではない。

中国商務省が28日に公表したリストによると、中国はトウモロコシや乳製品をはじめとする幅広い米国産農産物について、関税の引き下げを提案している。その見返りとして米国側も、玩具や花火、クリスマス用装飾品などの中国製品に課す関税を引き下げる。

この動きは、与党共和党にとって厳しい戦いが予想される中間選挙を前に、トランプ氏の重要な支持基盤の一つである米国の農家にとって朗報となる。

ただ、コモディティー市場のアナリストらはすぐに、米国の主要輸出品の1つである大豆が中国側のリストに含まれていないことも指摘した。今後、米中関係が悪化すれば、中国による大豆の購入が再び交渉材料にされる可能性が残されている。

<イラン問題で協力得られず>

また中国側は、トランプ氏の支持率を第1期、第2期を通じて最低水準にまで押し下げたイラン戦争を終結させるために、積極的に協力する姿勢をほとんど示さなかった。

習氏が米国を離れて間もなく、中国の韓正国家副主席はニューヨークで開かれた国連総会で、イラン問題を巡る米国の姿勢や、キューバに対する米国の威嚇に反発。習氏もまた台湾への米国の支援など、より難しい問題についてトランプ氏に主張することをためらわなかった。

一方のトランプ氏は、公の場で台湾問題に触れることを避けた。これは5月の首脳会談時とは対照的だ。その際トランプ氏は台湾向けに予定されている140億ドル規模の武器売却について、北京との交渉に使える「交渉カード」だと表現していた。

米政府は、世界の二大経済大国である米中両国の関係を安定的に維持する上で、習氏との首脳会談を頻繁に行うことには重要な意味があると説明している。

しかし、政治リスク調査会社ユーラシア・グループのシニアアナリストで、かつて中国で米外交官を務めたジェレミー・チャン氏は、両首脳が頻繁に会談することは、台湾への武器売却など、中国が望まない米国の行動を先延ばしにさせるという意味で、中国側に時間を与えることにもなると指摘する。

チャン氏は「これは中国にとって戦略上の大きな勝利である半面、台湾、そして地域の多くの米国の同盟国やパートナーにとっては大きな損失だ」と述べた。

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