トポロジー(位相幾何学)と呼ばれる数学的な手法を使って、乳癌の診断とグレード(悪性度)評価を定量化する試みが注目を集めている。

コロンビア大学の研究チームは、腫瘍組織の視覚的なパターンを数値化し、定量的な診断とグレード評価を可能にする方法を開発した。この方法は、乳癌の予後予測の精度向上と、個々の患者に合った治療の最適化に大きく寄与する可能性がある。

乳癌の病理検査では、乳房のしこりなどから組織を採取し、顕微鏡で構造上の変化を観察して良性腫瘍か悪性腫瘍(癌)かを見分ける。癌であれば、さらに癌細胞の形や性質を調べてグレードを判定する。

グレードが低ければ、増殖スピードは緩やかで、治療後の再発リスクも低いが、グレードが上がるにつれ増殖の勢いが増し、悪性度が高まる。

今回、コロンビア大学チームが開発したのは、トポロジーを応用して乳癌組織の構造的な配置を数値化するバイオマーカー(生物学的指標)だ。これを用いることで、従来の多くのバイオマーカーよりも正確に患者の生存率と治療への反応を予測でき、人種・民族による精度のばらつきも抑えられた。

ニューヨーク・プレズビテリアン病院/コロンビア大学アービング医療センターの主任病理学者で、コロンビア大学病理学・細胞生物学部の学部長を務めるケビン・ガードナーは、この研究では「デジタル病理学、AI、機械学習の進歩を活用した乳癌の解明に重点を置いた」と、本誌に語った。「私たちが試みたのは、腫瘍組織の詳細な画像と患者の遺伝子やタンパク質の情報、その他の臨床的な情報を統合して、患者一人一人の癌のより精密な全体像を描き出すことだ」
 

乳がん以外にも適用を広げる
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