乳がん以外にも適用を広げる
このアプローチは「より個別化された治療方針の決定に役立つだろう」と、ガードナーは言う。
研究チームはトポロジーを使って腫瘍細胞と免疫細胞の相対的な位置関係を数値化するアルゴリズムを作成。ノースカロライナ州の乳癌患者555人から採取した腫瘍標本で細胞の位置をマッピングし、組織全体の配置パターンを数値化した。
トポロジーに基づく測定値では、患者の生存率を従来の手法よりも高い精度で予測できた。スコアが高い(つまり組織の乱れが少ない)ほど生存期間は長く、予後は良好だった。
この結果は「腫瘍組織の空間的な配置に、従来のバイオマーカーでは見逃されかねない重要な生物学的情報が含まれている可能性があることを示唆している」と、論文の執筆者の1人でコロンビア大学のジャズミン・マクドナルド准教授(疫学)はプレスリリースで述べている。
この研究では、トポロジーに基づくスコアの低さと、代謝と免疫抑制に関わる経路、さらには癌の浸潤や転移に関わる「上皮間葉転換」というプロセスの関連性も明らかになった。そこから腫瘍内部の構造上の変化は、腫瘍微小環境における代謝と免疫のプロセスと関係があることも推測される。
研究チームは、将来的に遠隔地や医療資源の乏しい地域でもこの手法を利用できるようにしたいと考えている。ガードナーはさらに、乳癌以外の癌にも適用を広げ、「より多くの患者が癌の精密医療の恩恵を受けられるようにしたい」と力を込める。
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