財政政策、軌道修正は困難か
そうした中、高市氏が9月17日の内閣改造でリフレ派として知られる城内実経済財政担当相を続投させる一方、片山の留任も決めた背景には、「ベセント氏との関係性、継続性」への配慮という見方が政府・与党内にある。片山氏は協調介入の交渉で中心的役割を担い、高市政権の成長戦略と市場の懸念の調整役も果たしてきた。
片山氏は15日の会見で、歳出・歳入両面で「あらゆる見直し」を進めるとともに、債務残高の対GDP(国内総生産)比を安定的に引き下げていく中でも可能となる財政規模を精査すると強調した。「市場の信認確保に配意しつつ、通年における国債発行額などを具体化していく」と述べた。
高市氏は今年度の新規国債発行額が前年度以下の40兆円程度に抑えられているとし、来年度予算についても同様の取り組みを進める考えを示している。だが、政府・与党内には投資拡大や防衛費の増額を念頭に、「軌道修正を余儀なくされるだろう」との声もある。
ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「ベセント長官に言われたから大きく財政政策を軌道修正することは難しい。『タカイチノミクス』は今後も続くだろう」と語る。とはいえ、成長と財政規律の二兎を追う「市場への配慮は不可欠」と言う。
高市氏は第2次改造内閣が発足した17日、「コミュニケーションの強化を通じて市場の信認を確保していく」と強調した。「透明性高く、かつ丁寧に一貫した説明を行う」とした上で、「引き続き責任ある積極財政の考えのもと、強い経済と財政の持続可能性をバランスよく実現する」と語った。
高市氏がトランプ大統領との間で蓄積してきた外交的な資産のおかげか、これまでのところ財政を巡る日米の対立は先鋭化していない。ただ、一部の専門家は、日本の財政運営に対するベセント氏のアプローチは、トランプ政権の通商政策の延長線上にあると指摘する。
アジア・グループのボーリング氏は、通商交渉でトランプ政権は「同盟国に対しても遠慮することはなかった」と言う。「そうした姿勢が、財政や金融政策の分野にも及び始めているようにみえる」
(鬼原民幸、山崎牧子、山口貴也、木原麗花 取材協力:竹本能文、杉山健太郎、和田崇彦、David Lawder 編集:久保信博)

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