介入への道筋

その後、協調介入までに日本政府の発信は変化する。

7月上旬には、金利押し上げ要因の1つだった「骨太の方針」の原案を修正して日銀の独立性尊重を明記した。片山氏は同月10日の会見で、GPIFによる国内資産投資の拡大を後押しする考えや、個人向け国債の拡充方針を示した。

そして同30日、植田和男日銀総裁が会見で利上げ加速を示唆した後、円高が進んだタイミングで日本当局が単独で円買い介入を実施した。翌31日には米当局も加わった。片山、ベセント両氏を含む日米当局者は徹夜でやり取りを続けたという。さらに8月1日には、日本の財務省が介入原資となるドル調達に際し、米国債を売却せずに済む外国・国際通貨当局向けレポ・ファシリティの活用を予定していると交流サイト(SNS)で発信した。

米国がこの時点で介入参加を決断した理由は明らかになっていない。GPIFや個人向け国債など、6月会談で議論された論点について日本側は一定の対応を示したものの、日本政府関係者は「条件や要求を突き付けられたわけではない」と口をそろえる。当時は米国でも金利上昇圧力が強まっており、「惑星直列の結果だ」と関係者の1人は説明する。

米コンサルティング会社アジア・グループ日本代表マネージング・ディレクターのデービッド・ボーリング氏は「ベセント氏は日本への忍耐を失いつつあるようにみえた。日本が現在直面しているインフレへの対応として、いまの政策の組み合わせは適切でないと懸念しているようだった」とみる。「ベセント氏はより強く安定した円、米国債売却リスクの低下、そしてインフレと財政安定に関して市場から信頼される政策運営を求めている」

ベセント氏は9月15日、下院金融サービス委員会の公聴会で、「円高は米輸出業者にとって望ましい。円高は、日本政府が自国通貨を防衛するために米資産を売却する必要がないことも意味する」と語った。

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