財政運営の基本路線

もっとも、財政運営を巡る高市政権の基本路線にはその後も目立った変化がみられない。

8月末前後から来年度予算の概算要求総額が過去最大の143兆円になることが明らかになると、円相場は再び下落した。ベセント氏は米ノースカロライナ州アッシュビルで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、日銀の利上げ継続とリフレ政策からの脱却を従来以上に明確に求めた。「(日本はリフレ政策である)アベノミクスで大きな成功を収めた。それを一巡させてリフレをやめるべきだ」。ベセント氏は語気を強めた。

現地でベセント氏と会談した片山氏は帰国後の記者会見で、高市政権が強い経済と財政の持続可能性という「二兎を追っている」ことを説明し、理解を得ていると語った。 だが、元財務官の中尾武彦氏(国際経済戦略センター理事長) は「『リフレ政策をやめてくれ』という意味だと思う。​ここまではっきり言うのはめずらしい。今までは『正しい政策を行うと信じている』というような言い方だった」‌と⁠話す。

高市氏にとって、地滑り的勝利を収めた2月の衆議院選挙で前面に打ち出した「責任ある積極財政」は簡単に降ろせない金看板だ。官民合わせて2040年までに370兆円を国内投資に振り向け、その成長で債務残高の対国内総生産(GDP)比を引き下げる構想を掲げる。

市場では財政への懸念もあって長期金利がたびたび3%を超えるが、日本の政府関係者は高市氏が成長重視の政策を転換する可能性を否定する。15日には財源を明示しないまま、来年4月からの飲食料品の消費減税に向けた改正税制大綱を閣議決定した。

財政政策、軌道修正は困難か