David Milliken Andy Bruce

[ロンドン 17日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は17日、国債(ギルト債)の売却を今後6カ月間停止するとともに、長期債の売却は全面的に中止すると発表した。保有する4880億ポンドの国債の大半を2034年までに削減する計画を打ち出した。

政策金利の据え置きと合わせて発表した。政策金利は市場予想通りの据え置き。英30年債利回りは数日前に1998年以来の高水準を付けていた。

債券市場の混乱により、中銀の国債売却が中銀の損失を拡大し最終的には納税者の負担になるとの批判が再燃していた。

ベイリー総裁は声明で、「量的引き締め(QT)政策の今後を明確に示す」と指摘。「金融政策委員会(MPC)と中銀は、金融政策目的で保有する国債残高の相当部分を維持する一方、残りは今後8年間で圧縮していくことを決定した」と述べた。

ベイリー氏は以前から、長期債の保有によって高まる英中銀のバランスシート上の金利リスクを減らしたいとの意向を示していた。中銀は、国債売却ペースの変更について政府の損失総額よりも損失発生時期に影響するとしている。

<英中銀発表後に国債利回り低下>

発表後、英国債利回りは6─8ベーシスポイント(bp)低下した。

KPMGのチーフエコノミスト、ヤエル・セルフィン氏は「英中銀が市場に戻す政府債務の量を減らすことで、国債利回りへの上昇圧力を幾分和らげる効果が期待できる」と指摘。「ただ借り入れコストの持続的な低下は、金融政策のみではなく、英財政見通しへの信認や、広範な世界情勢に左右される公算が大きい」と述べた。

英中銀は09年から21年にかけて、景気刺激と長期金利抑制を目的とした量的緩和(QE)プログラムを通じ、英国債を中心に8950億ポンド(1兆2000億ドル)のポンド建て債券を買い入れた。

22年2月には償還を迎えた債券の再投資を停止し、同年9月には国債売却を開始。QTは年間1000億ポンドに引き上げていた。25年9月に売却ペースを年間700億ポンドへの減額を決定した。

今回の決定は賛成9、反対0だった。

新計画の下、英中銀は金融政策目的で保有する英国債をゼロまで削減する。残高4880億ポンドのうち、2049年以降に償還を迎える1200億ポンドの英国債は、紙幣発行の裏付けとして中銀バランスシートに恒久的に残す。

2034年までに償還を迎える2220億ポンドの国債は満期まで保有する一方、残る35─49年に償還を迎える1460億ポンドは売却する。

これは年間200億ポンドの売却に相当し、償還分を含めた年平均削減額は460億ポンドとなる。過去12カ月間のペースより緩やかだが、英中銀が7月に実施した投資家調査で示された26/27年度予想とおおむね一致する。

<英中銀の国債入札を4月まで停止 完全停止の可能性も>

英中銀はまた、独自の入札を実施する代わりに財務省債務管理庁(DMO)に市場価格で国債を直接売却する方式について政府と協議する間、全ての売却を4月まで停止する。

この方式への転換により、一部の残存英国債について入札で不利な価格となるのが避けられる可能性がある。

英中銀は主要中銀の中で唯一、保有政府債務の直接売却を実施してきた。これは国債の平均残存期間が他国より長いことを反映している。

英中銀は、QTにより英国債利回りが約0.25%ポイント押し上げられたと試算しており、近年の債券利回り上昇の中では小幅と見なしている。

だが一部のアナリストは、30年物英国債利回りへの影響は0.75%ポイント近くに達すると見ている。これは、英国と米国の30年国債の利回り差を上回る水準だ。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。