米ニューヨークのメトロポリタン美術館(MET)と世界的ファッションデザイナーのジョン・ガリアーノは8月31日、2027年5月に開催予定だったガリアーノの回顧展を「当初の計画どおりには実施しない」と発表した。

この決定はファッション界が長く曖昧にしてきた問いを浮き彫りにした。復帰はどこまで許されるのか、その先の名誉にはどこで線を引くべきなのかという問いだ。

反ユダヤ的な侮辱発言をめぐって11年に有罪判決を受けたことで、ガリアーノのキャリアは崩壊した。だが彼はその後リハビリ施設への入院と謝罪を経て復帰。メゾン・マルジェラでは約10年にわたって仕事を続け、24年のオートクチュールは絶賛された。今年はザラとも提携している。

ガリアーノは仕事に復帰できるのか。この問いにファッション界は既に答えを出している。復帰はできる。しかも成功できると。

だが回顧展計画が突き付けたのは、復帰の先に文化的な「聖人化」まであっていいのかという問いだった。

復帰後のガリアーノの仕事やコレクションは、デザイナーとしての実績として評価することができる。だがファッションの祭典として名高いMETガラと結び付いた回顧展となれば話は別だ。

議論の焦点は「ガリアーノは許されるべきか」ではなかった
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