グテレス国連事務総長は16日、急速に進歩する人工知能(AI)が無視できないリスクをもたらしていると警告した。既存の安全策で十分だと主張するトランプ米大統領とは異なる立場を鮮明にした。

来週ニューヨークの国連本部で開かれる国連総会を前に、グテレス氏は記者団に対し、世界の指導者らとの会談ではAIに対するより強力な監視体制の必要性が主要な議題になるとの認識を示した。

その上で「とりわけAI開発の最前線に立つ人々から提起された懸念を無視することはできない」と強調。「国民を守ることは、いかなる政府にとっても第一の責務であり、AIの脅威もそれに含まれる」と語った。

AIがもたらす潜在的リスクを巡っては、米アンソロピックの研究者2人が先週、AIの急速な進歩によって、そう遠くない将来に「人類滅亡」につながる可能性があると警告したことを受け、懸念が高まっている。

一方、トランプ米大統領は14日、米国にはすでにAI企業を規制し、法的責任を追及するための枠組みが整っていると主張。AI開発への懸念が強まることで中国が利益を得る可能性があるとして、こうした懸念を軽視する姿勢を示した。

グテレス氏はかねて、AIの国際的なガバナンス(統治)を推進してきた。国連は2023年、39人のメンバーで構成するAIに関する諮問機関を設置。メンバーにはハイテク企業幹部や政府関係者、米国、ロシア、日本などの学識経験者が含まれる。

外交筋によると、来週の国連総会の期間中に安全保障理事会もAIに関する会合を開く可能性がある。安保理は23年に初めてAIに関する会合を開いた。

グテレス氏は、AIの最前線で最大の能力を持つ国々は「連絡や情報交換の仕組みと、共通の安全策を確立すべきだ」とし、「いつの日か地球規模の大惨事につながりかねない底辺への競争を避けるためだ」と訴えた。

また「われわれはAIの安全・安心で責任ある開発をどう進めるかについて共通の理解を持つ必要がある。同時に、能力を増していくシステムがどの時点でより強力な安全策や、潜在的リスクを管理する追加措置を必要とするのかを見極めなければならない」と述べた。

[ロイター]
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