Courtney Rozen
[ワシントン 15日 ロイター] - 米民主党系無所属で左派のバーニー・サンダース上院議員と、トランプ大統領の元側近で保守派のポッドキャスターであるスティーブ・バノン氏は15日、人工知能(AI)に対する監督強化を求めた。政治的立場の大きく異なる両氏が、AIが人類に悪影響を及ぼす可能性への懸念で一致した形だ。
首都ワシントンで開かれた同じ会合で両氏が異例の共闘を見せた背景には、規制のないAI開発に対する不安の高まりがある。AIを巡っては雇用喪失や安全保障上のリスク、少数の巨大IT企業への権力集中などへの懸念が広がっており、議会でも与野党双方からトランプ政権の規制に消極的な姿勢を疑問視する声が上がっている。
サンダース氏は「AIには数千万の雇用を失わせ、業界全体を消滅させ、若者の就職をさらに困難にする可能性がある。多くの科学者が懸念しているように、この技術が人間の制御を離れ、壊滅的な結果を招く恐れがある」と主張。AI技術の支配が一部の経営者に集中しているとして、スペースXの最高経営責任者(CEO)でトランプ氏のアドバイザーも務めたイーロン・マスク氏らを批判し、会場から拍手を受けた。
さらに「先月AIが初めて新たなウイルスの作成に利用されたことが判明した。悪意ある者の手に渡れば、新たな生物兵器の開発や、数千万人の命を奪うような世界的パンデミックにつながる可能性がある」と指摘するとともに、来週予定されるトランプ氏と中国の習近平国家主席との首脳会談で、AI開発を一時停止する条約を協議するよう求めた。
一方、第1次トランプ政権の大統領首席戦略官だったバノン氏も、AI監督を巡るトランプ氏の対応を批判。規制に消極的な背景にはテクノロジー企業の影響があるとの見方を示した。
バノン氏は前日に自身のポッドキャストで、州独自のAI規制を妨げるような連邦法を議会が制定すべきではないと主張し、この日の会合では「まず必要なのは、何が起きているのかを正確に理解するため、開発ペースを落とすことだ」と述べた。
またサンダース氏によるAIリスクの説明を評価して「この問題では党派対立を超えなければならない」と強調した。
バノン氏は「バーニー・サンダース氏ほど左派で、スティーブ・バノンほど右派の人物を見つけるのは難しいだろう」と語り、AI開発の減速に向けた法整備には時間がかかり過ぎるとして、「必要なのは大統領令などによる行政措置だ」と訴えた。米国製半導体の中国向け供給を停止すべきだとの考えも示した。