Nobuhiro Kubo

[東京 15日 ロイター] - 日本政府が年末に予定する安全保障関連3文書の改定で、長距離攻撃用を含む多様な無人機(ドローン)を配備し、日本への侵攻を遠方で阻止する防衛構想を検討していることが分かった。ウクライナやイランでの戦争を通じて明らかになった戦い方の変化を踏まえ、海に囲まれた日本の地理的特性を生かしながら、戦闘機や艦艇などの保有数で勝る中国などへの抑止力を低コストの装備で高める狙いがある。

安全保障政策に携わる複数の政府関係者が明らかにした。

同関係者らによると、実戦投入されている航続距離1000キロ超のイラン製「シャヘド」に類する攻撃用ドローンの大量導入を検討している。攻撃目標を探知・特定する情報収集ドローンに加え、水上・水中ドローンも使い、日本から離れた海空域で艦艇や航空機を迎撃できる態勢の構築を目指す。長距離ミサイルによる攻撃を組み合わせ、相手側の対処を複雑化させる考えだ。

関係者の一人は「日本に侵攻するには必ず海を越えなければならない。四方を海に囲まれた地理的特性を生かし、できるだけ遠方で侵攻を阻止する」と説明する。少子化に伴う自衛隊員の減少を見据え、可能な分野では無人装備の導入を進める方針で、監視能力が手薄な太平洋側の防衛強化にも活用できるとみている。

防衛省は2027年度予算の概算要求に、低コストの長距離ドローン開発費を盛り込んだ。「安価で短期間に大量生産可能」な装備の実現を目指している。別の関係者によると、攻撃用ドローンは消耗品として大量に必要になるため、安定調達の観点から国内開発・生産を中心に進める方針だという。

3文書の改定を主導する国家安全保障局は、ロイターの問い合わせにコメントを控えた。

高市早苗政権は年末の取りまとめに向けて「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の安保関連3文書の改定作業を進めている。22年末に策定された現行の3文書は、同年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻で示されたドローン中心の戦い方を反映できておらず、ドローン防衛構想は3文書改定の柱の1つとなる。

政府は改定に向けてウクライナやイランでの戦闘を分析。防衛省が作成した資料によると、イランについては要衝のホルムズ海峡を押さえつつ大量の攻撃型ドローンを活用し、米国と対峙し続けている点に注目。ウクライナについては広大な国土に装備を分散配置し、ロシアからの攻撃への耐性を高めるとともに、ドローンとミサイルを組み合わせて比較的低コストの防空能力を構築したことに着目している。

前出の関係者の一人によると、ロシア支援のため派兵された北朝鮮軍がドローン戦中心の戦場で戦闘能力を高めていることへの懸念も政府内で共有されているという。

日本は防衛費を年間5兆円規模から9兆円規模へ拡大したが、中国との軍事力格差は広がっている。防衛省の資料によると、中国軍の戦闘機保有数は2025年までの10年間で731機から1668機へ増加した一方、自衛隊は293機から330機への増加にとどまった。前出の関係者の一人は「量で勝る相手が侵攻してきても対処できる非対称的な防衛力を引き上げる必要がある」と指摘する。

同関係者らによると、次期3文書はAI(人工知能)の活用拡大も重要な柱となる見通しだ。目標探知から攻撃までの時間短縮を図る米軍の運用を参考に、自衛隊の意思決定や作戦運用への導入を進める方向で検討している。自衛隊内での活用はなお限定的で、米軍との連携に支障が生じることへの懸念があるという。

(久保信博 編集:石田仁志)

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