ドイツの片隅にあって、高齢化が進み、取り残された感のある地域が、この国の戦後の自由民主主義に致命的な一撃を加えたのか。

ドイツ東部ザクセン・アンハルト州で9月6日に行われた州議会選挙を受けて、多くの人がそう感じている。極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が既成政党に圧勝し、単独過半数獲得まで数議席に迫ったからだ。極右がドイツで州政権を握れば、ナチス体制崩壊後初めてとなる。

ドナルド・トランプの2度に及ぶ米大統領選の勝利やイギリスのEU離脱など、世界各地で政治的な「津波」が起きたときと同じく、中道派の反応は怒りから困惑、絶望までさまざまだ。だが印象に強く残るのは、あまりの衝撃に呆然と立ち尽くすかのような麻痺状態だ。

こうなることは見えていた。それなりに手は打った。なのに、津波にのみ込まれた。そして今、選挙結果を前にして責任の追及が始まっている。

トランプが大統領選に勝ったとき、批判の矛先は民主党の大統領候補だったカマラ・ハリスやヒラリー・クリントンから、議会民主党、さらには党指導部全体にまで向けられた。ドイツの場合はもっと単純だ。全ての批判がフリードリヒ・メルツ首相に向けられている。

メルツは首相に就任して1年4カ月。世論調査で歴史的な低支持率を記録するという不名誉まで背負った。

2018年にキリスト教民主同盟(CDU)の党首選に初めて挑んだとき、メルツはAfDの支持率を半減させてみせると豪語した。だが、実際には2倍になった。「改革の秋」を有権者に約束したのもメルツだ。昨年の秋のことだったはずだが、改革案はいまだ議会で難航している。

国民が本当に欲しかったもの
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