米バイオ企業モデルナと製薬大手メルクは8月19日、共同開発するメッセンジャーRNA(mRNA)がんワクチンが後期臨床試験(治験)で主要目標を達成し、悪性黒色腫(メラノーマ)の再発や転移を減らしたと発表した。
がん治療における今年最大の成果だ。だが同時に、「mRNA」を禁句同然に扱ってきた反ワクチン派にとっては頭痛の種でもある。
この技術を広める後押しをしたのは、第1次トランプ政権だった。「ワープ・スピード作戦」で新型コロナワクチンの開発を加速させ、mRNAをコロナ禍で最大級の科学的成果に押し上げた。
ところが第2次トランプ政権で風向きが変わった。反ワクチン派のケネディ保健福祉長官がmRNAワクチンに疑問を呈し、政権はmRNA関連のワクチン開発の一部から手を引いた。
しかし、がんは誰もが恐れ、政治家が撲滅を掲げる病。医学研究に「究極の目標」があるなら、それはがんを食い止める方法を見つけることだ。
だからこそ、モデルナの治験結果は政治的に極めて厄介な意味を持つ。mRNAを文化戦争の標的にするだけならまだしも、この技術ががんの再発防止に役立つ可能性があるとなれば話は別だ。
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