Alexander Cornwell Rami Ayyub Timour Azhari
[11日 ロイター] - アラブ首長国連邦(UAE)は米国以外で最大級となる5ギガワット(GW)規模の人工知能(AI)データセンター計画について、ひそかに見直しを進めている。イランを巡る戦争を受けて、重要インフラをどのように、どこに建設すべきかを再検討しているためだ。事情に詳しい関係者6人がロイターに明らかにした。
事情を知る4人が匿名を条件に語ったところによると、当初はアブダビに10平方マイル(約26平方キロメートル)の巨大なデータセンター拠点を建設する構想だったが、再検討されて、UAE全土に複数のデータセンターを分散配置する計画に変更される可能性が高い。
当局はまた、無人機(ドローン)やミサイルによる攻撃から施設をより効果的に守る方法も検討しており、防空システムの導入のほか、一部の施設を地下に建設する案などが浮上している。
計画の基本設計が変更される可能性が報じられるのは初めて。
UAEの計画は米国のテクノロジー企業と共同で進められており、トランプ米大統領による昨年のUAE訪問の際に発表された。UAEが石油依存から脱却し、世界的なAI大国になることを目指す戦略の中核と位置付けられ、政府系企業G42が主導する。
UAEは、米エヌビディア のAI半導体など米国の先端技術へのアクセスを得る見返りとして、中国とのAI分野での関係を縮小し、米国で進む「スターゲート」構想のデータセンター事業に投資することで合意した。
ロイターが取材した関係者には、米政府当局者、欧州の外交関係者、今回の協議について説明を受けた業界幹部らが含まれる。UAE当局が新たな全体計画の策定をどの程度まで進めているのか、また変更案が建設費や工期にどの程度影響する可能性があるのかについて、ロイターは確認できなかった。
関係筋によると、UAE当局が計画の見直しに着手したのは、イランが米国とイスラエルによるイランへの空爆への報復として、米軍が駐留する湾岸諸国にミサイルやドローンによる攻撃を始めて間もなくのことだった。
3月には、UAEにあるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のデータセンター2カ所と、バーレーンにある1カ所が攻撃されて被害を受けた。アマゾンのウェブサイトによると、AWSの地域向けクラウドコンピューティングサービスは現在も障害が続いている。
イラン軍は4月に動画を公開し、UAEのスターゲートも攻撃対象になり得ると警告。動画には、施設が建設されているとする場所を示した地図が映され、「われわれの目から何も隠すことはできない」との字幕が付けられていた。
関係者2人は、建設予定地がアル・ダフラ空軍基地に近い場所であることを確認した。この場所が建設地であることはこれまで公表されていなかった。同基地はアブダビ郊外にあって米軍が駐留し、今回の戦争で攻撃の標的となった。