Marwa Rashad Curtis Williams
[ロンドン/ヒューストン 11日 ロイター] - 国営カタールエナジーが、イランによる攻撃で停止した液化天然ガス(LNG)生産能力の不足分を補うため、2031年までを対象とする米国産LNGの複数年購入契約について複数の生産事業者と交渉を進めている。業界関係者ら3人が明らかにした。
関係者の話では、交渉相手にはベンチャー・グローバル 、シェニエール・エナジー 、ウッドサイド・エナジー が含まれている。
カタールエナジーは、3月にイランの攻撃でラスラファン施設のLNG生産設備14基のうち2基と、ガス・トゥー・リキッズ(GTL)施設が損傷したことを受け、生産能力の一部を喪失した。今回の契約協議はその不足分を穴埋めする対応の一環とされる。
同社はこれまで、アジア向けの供給契約を履行するため、米国産LNGのスポットカーゴを数十回にわたり購入してきた。しかし今回の動きは、短期的な調達から中長期的な供給確保へと方針を転換しつつあることを示している。
カアビ最高経営責任者(CEO)は3月、修復工事の影響で年間1280万トンのLNG生産能力が3-5年間停止すると説明していた。
関係者によると、同社は3月に生産を停止して以降、不可抗力条項の通知を毎月更新しており、直近では11月まで延長した。ホルムズ海峡の閉鎖が続いていることから、さらに延長される可能性もあるという。
また関係者の1人は、年間1000万トン規模のLNG取引を手掛けるカタールエナジー・トレーディングが31年まで毎年200万-300万トンの調達を目指していると指摘。4人目の関係者は「同社は確保できるLNGを可能な限り購入せざるを得ない状況だ」と解説した。
カタールエナジーはロイターのコメント要請に回答していない。ベンチャー・グローバルとシェニエール・エナジーはコメントを拒否し、ウッドサイド・エナジーは「市場の憶測にはコメントしない」と述べた。
調査会社ラピダン・エナジーのデータに基づくと、建設中の米国LNGプロジェクトには計2500万トンの未販売枠が残っている。内訳はベンチャー・グローバルが年間1000万トンで最も多く、シェニエール・エナジーとウッドサイド・エナジーがそれぞれ年間600万トン、センプラ・エナジー のポートアーサーLNG計画が年間300万トン。
MSTマーキーのエネルギー調査責任者ソール・カボニック氏は「カタールが長期契約によるLNG調達を進めていることは、自社顧客向け輸出の継続に数年間リスクがあると判断していることの表れだ。ホルムズ海峡の混乱が長期化する可能性や、カタールのLNGインフラの被害が当初の想定以上に深刻で、復旧により長い期間を要する可能性があることを示唆している」との見方を示した。
カタールのLNG輸出の約80%は通常アジア向けとされる。ホルムズ海峡を通過する物流再開の時期が見通せない中、アジアの需要者の間ではカタール産LNGの代替調達を模索する動きが広がっている。