Nora Eckert

[9日 ロイター] - 中国企業との提携関係を巡り、米自動車大手フォード・モーターとトランプ米政権の間で長年くすぶっていた緊張が今週、同社に対する与党共和党からの毀誉褒貶が入り交じった反応という形で噴き出した。

フォードは、中国の自動車メーカーは脅威であり米市場から排除すべきだと警告する一方で、世界的競争力を維持するためには中国の技術や専門知識へのアクセスが必要だとも主張してきた。

共和党が主導する下院中国特別委員会は9日、交流サイト(SNS)「X」への投稿で、フォードは中国企業の脅威を指摘しながら、それら企業の一部と提携していると指摘して「フォードは言葉と行動が裏腹だ」と批判した。

その24時間足らず前には、ダフィー運輸長官が、フォードと中国企業との関係は「問題だ」とする書簡を公表。フォード側は、長官は世間の関心を集めようとしていると反撃した。

しかし政権からはフォードの動きを称賛する声も上がっている。ホワイトハウスは9日にXで、フォードを国内生産に投資してきた「偉大な米国企業」と評した。ラトニック商務長官もわずか数週間前、ダフィー氏が今回批判したフォードの動きの一部を賞賛していた。

フォードの広報担当者は9日、「この状況全体が非常に不可解だ。政権とは非常に良好で建設的な対話を行っており、書簡は青天の霹靂(へきれき)だった」と述べた。

政権の一貫性に欠けるメッセージは、幅広い議論を反映したものだ。トランプ大統領は、中国との競争から米産業を保護し、国内製造業を再建することを最優先事項に掲げてきたが、政権高官の間では、中国企業との協力がどこで一線を越えるのかについて意見が食い違っている。

<声高なフォードCEO>

フォードのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は長年にわたり、急速に台頭する中国自動車メーカーの脅威について、業界内で最も積極的に警告を発してきた業界幹部の一人だ。同社は、中国政府の支援が大きなコスト優位性をもたらしていると主張し、中国メーカーの米市場へのアクセスを制限するよう議会に働きかけてきた。

ファーリー氏はメディアのインタビューで、中国には北米全体に自動車を供給し、米自動車メーカーを廃業に追い込むのに十分な工場スペースがあると指摘している。

一方、ファーリー氏は2024年10月のポッドキャストで、中国メーカー小米科技(シャオミ)の電気自動車(EV)に乗るのを楽しんでいると語り、ライバル社の製品を賞賛。この発言は予想以上に大きな注目を集めたと同氏は認めた。

フォードは同時に、中国企業との提携を模索・締結しており、米政府の一部から怒りを買った。

最初の反発が生じたのは23年、フォードが中国の大手車載電池メーカー、寧徳時代新能源科技(CATL)との提携を発表した時だった。

米下院の2つの委員会の委員長は、フォードが「自社と米国の納税者を中国共産党の気まぐれにさらしている」として、この提携に関する調査を開始すると発表した。関係者によると、同社はこの反発の強さに衝撃を受けたという。

フォードが今年7月、欧州で中国自動車大手、吉利汽車と新モデルの共同開発などで提携すると発表した際にも、一部議員から激しい反発が巻き起こった。

下院中国特別委員会のジョン・ムーレナー委員長は同月に「中国自動車メーカーの米国市場参入からの保護を求めながら、こうした決定を下すのは理解しがたい」と述べた。

<矛盾だらけのメッセージ>

トランプ氏とその政権は、中国自動車メーカーにどの程度強硬な姿勢を示すつもりかについて、一貫しないシグナルを発してきた。

トランプ氏は今年1月、中国自動車メーカーが米国人労働者を雇用するのであれば、米国で車両を製造することを受け入れる姿勢を示した。

ラトニック氏は8月、30年からリンカーンの生産の一部を中国から米国に移すフォードの決断を称賛。しかし、ダフィー氏は今週の書簡で、移管のスケジュールが受け入れがたいほど遅いと批判した。

戦略国際問題研究所(CSIS)の副所長兼シニアフェロー、イラリア・マッツロッコ氏は、このような混乱した対応ゆえに自動車メーカーは将来計画を立てにくいと指摘。「米国には中国依存を減らしたいという総意はあるが、具体的にどのような形になるのかについての合意はあまり存在しないのではないか」と語った。

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