Philip Blenkinsop

[ブリュッセル 10日 ロイター] - フランスとイタリア、ドイツは、主に中国からの輸入が急増している化学・プラスチック品に対し、貿易防衛措置「セーフガード(緊急輸入制限)」の発動を欧州連合(EU)に求める意向だ。協議に詳しい関係者が明らかにした。

セーフガードは、一定の輸入枠を超えた分に関税を課す仕組みで、対象国を限定する個別措置よりも広範囲に適用される。日本やカナダを含め、EUと自由貿易協定(FTA)を締結している国からの輸入品にも適用される可能性がある。

発動要請は、EU加盟国だけが可能。最終的な措置については加盟国が採決し、加盟国15カ国以上かつEU人口の65%以上を代表する特定多数決方式での支持が必要となる。

これまでEUでは、多くの加盟国が保護主義的との懸念からセーフガードの利用に慎重だった。しかし、トランプ米政権による関税引き上げや中国との貿易赤字拡大を背景に、安価な輸入品の急増が雇用を脅かしていると産業界が警告している。

これを受け、EUの姿勢にも変化が生じている。とりわけ圧力が強まっているのは経営環境が悪化している化学業界で、EUとして通商政策の強化を進めているところだ。

関係者によると、フランス、イタリア、ドイツが数週間以内に、広範な輸入割当制度であるセーフガードの適用をEUに要請する計画。対象は、包装材などに広く使われるポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂のほか、エポキシ樹脂やガラス繊維となる見込みだ。

EUでは現在、ダンピング(不当廉売)や不公正な補助金への対抗措置として150件超の貿易防衛措置が発動されているが、その大半は特定製品向けの関税措置。セーフガードは合金鉄向けの1件のみで、これとは別に鉄鋼輸入を対象とした制度が設けられている。

フランス政府は、特定の化学製品やプラスチック製品に対するセーフガード調査を原則支持する立場を取っている。フォリシエ貿易担当相の事務所の高官は、欧州の化学産業が深刻な困難に直面している状況に特別な注意を払うべきだと述べた。

イタリア政府は防衛、自動車、エネルギー、造船、インフラ分野で使用される一部化学品について調査に関心を示しているとされる。

ドイツ経済省も、同様の措置に原則として前向きな姿勢を示した。同省関係者の話によると、化学業界は対象製品に関する調査申請を準備しており、政府はEU欧州委員会の調査結果を踏まえて対応を判断する。

フランスとイタリアは、以前からEUの通商防衛措置強化を主張してきた。2年前には中国製電気自動車(EV)にEUが追加関税を課すことに反対していたドイツでも、中国に対する強硬姿勢を求める産業界の圧力が高まっている。

欧州委の報道官は、将来的な案件についてのコメントを拒否した。

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