敵陣への潜入
中国が人型ロボットの軍事利用に本格的な関心を示し始めたのは2024年だった。
NUDTのウェブサイトによるとこの年、NUDTと中国人民解放軍軍事科学院は防衛技術フォーラムを共催し、ヒューマノイドシステムの軍事利用をテーマとするセッションも行われた。両機関はロイターの質問に回答していない。
翌25年、NUDTは人型ロボットを戦場で使うための装備として明確に位置付けた。同大学が6月に開催した競技会では、ロボットが指定区域内に入り、地図を作成し、標的を特定する、「敵陣後方への潜入」を想定した競技が行われた。別の種目では、ロボットが軍事基地で身元確認や規律検査、警備巡回を行うことも想定されたという。
NUDTはこの競技会を、人型ロボットを最終的に「戦場へ送り込む」ための実証の場の一つと位置付けた。
当時の調達の記録からも、こうした最終目標が読み取れる。
25年5月、PLAは設置と技術訓練を含む人型ロボット1体の購入について調達入札を実施した。その4カ月後には、NUDTの電子メールアドレスを連絡先として記載した調達公告が出され、「身体性を備えた人型ロボットの知能認識・精密操作システム」が応募の対象となった。
ただ、これらの記録には具体的な情報がほとんどなかった。ロイターは、これらの入札が実際に成立したのか、成立していた場合、どの企業が落札し、どの機種のロボットが納入されたのかを確認できなかった。
6月には、PLAが約30万ドルを予算化し、人型ロボット向けにカメラ、レーダー、動作データを収集・ラベル付けするシステムを調達しようとしていたことが、別の軍調達文書で明らかになった。データには、ロボットが通行可能な地形に関する情報も含まれる。
仕様からは、中国軍の関心がロボット本体だけでなく、認識、物体操作、訓練システムにまで広がっていることが分かる。防衛研究者らによるとこれらは、人型ロボットを管理された実演環境から実際の運用へと移行させるうえで不可欠な技術だ。