もう一つ、大事にしていたのが「シリコンバレーは雲の上の存在ではない」と伝えることです。僕自身、渡米前は「自分とは違う世界」だと思っていました。でも実際は、日本人でも当たり前に挑戦できる場所なんですよね。
シリコンバレーと日本の違いは、起業家の能力の差ではなく、「ルールの違い」だと捉えています。アメリカのスタートアップは、ヒットではなくホームランを狙いにいくし、ベンチャーキャピタルも「パワーロー」の考え方で動いている。100社ある投資先の1社がSpaceXやOpenAI、Airbnbのような大成功を収めれば、残りの99社が失敗してもいい。そんな前提があるから、起業家にも思い切ってフルスイングを促すのです。一方、日本の投資家は「投資先みんなに成功してほしい」と考え、ヒット狙いの手堅い戦い方になる傾向があります。
IPOしたSpaceXも、イーロン・マスクは創業当初、成功確率を10%以下だと思っていたといいます。その確率にベットできるかがルールの違いであり、失敗が許されているからフルスイングを振れる。本書には、そんなルールを経験した日本人が増えてほしいという思いを込めました。
原動力になった『ソーシャル・ネットワーク』との出会い
──大学生の頃にシリコンバレーで起業しようと、内藤さんを突き動かしていたものは何でしたか。
きっかけは、学生時代にFacebook(現Meta)の創業ストーリーを描いた映画『ソーシャル・ネットワーク』を観たことでした。自分とほぼ同じ歳の若者が、自ら作ったプロダクトで世界にインパクトを与えている。その事実に心が震え、「現地に行こう」と決めました。
ちょうど僕のブログを読んでくれていた起業家の先輩方との出会いにも背中を押されました。投資家や起業家に自らインタビューをオファーし、発信していったことが、結果的に人との縁をつないでくれたと思います。