James Pomfret
[香港 8日 ロイター] - 香港の初代行政長官を務めた董建華氏が8日、死去した。89歳だった。死因は明らかにされていない。香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストが董氏の事務所の声明を引用して報じた。
1937年7月に上海で生まれ、父親から海運大手オリエント・オーバーシーズの経営を引き継いだ。1990年代に中国の指導者らと親密な関係を築き、当時の江沢民国家主席とも近い関係にあった。
1997年7月1日に香港が英国から中国に返還されたことを受けて、香港特別行政区の初代長官に就いた。就任演説で「歴史上初めて、われわれ香港市民自らが運命の主人公になる」と宣言。「特別行政区政府は、香港の生活様式を守り、自由で開かれた経済体制を維持し、法の支配を堅持するとともに、より民主的な社会の構築に全力を尽くす」と述べた。
しかし就任から6年後、国家反逆や扇動などの犯罪を対象とし、警察権限も拡大する香港基本法23条の立法化を進めたことから、大規模な抗議デモが発生。董氏は法案成立を断念し、法案は棚上げされた。
その後、民主派と中国政府の緊張が続き、2014年と19年には数カ月にわたる大規模な民主化要求デモに発展した。2003年のデモ後には支持率が急落。05年に健康上の理由を挙げて2期目途中で辞任した。23条法案は24年3月、中国政府寄りの議員が圧倒的多数を占める立法会(議会)で可決された。
父親とともにジョージ・H・W・ブッシュ元米大統領と長年の友人関係にあり、董氏はその息子であるジョージ・W・ブッシュ元大統領とも関係を築いた。2012年、中国の指導者に就任する直前の習近平氏の訪米に同行。15年に習国家主席がワシントンを訪問した際にも非公式な立場で代表団に加わった。しかし米中関係が悪化し始めるにつれて、両国の橋渡し役を担う「長老政治家」としての役割は影響力が低下した。