Stephen Nellis

[サンフランシスコ 8日 ロイター] - 米アップルは9日、新たな最高経営責任者(CEO)にジョン・ターナス氏が就任した中で、新製品発表会を行う。市場では、画期的なハードウエアと、人工知能(AI)競争で他社に対抗できる刷新版の音声アシスタント「Siri(シリ)」の登場が期待されている。

アナリストの予想では、アップルはパスポートのように開閉できる新型折りたたみ式iPhoneを発表する見込み。価格は2500ドルを超え、カメラやプロセッサー性能の面では市場トップにならないかもしれないが、まだ生まれたばかりの折りたたみスマートフォン市場で早期に主導的地位を確立できるとの見方が出ている。

アップルは既に、Siriの大規模刷新計画を発表しており、その一環としてグーグルのAI技術を内部で活用している。この刷新は、長年の遅延を経た後のターナス氏にとって最初の大きな成果となる可能性がある。アナリストらは、予定通り年内に刷新版の提供にこぎ着ければ、グーグルの対話型AI「Gemini(ジェミニ)」と肩を並べられるとみている。

投資家はこれまで、アップルの生成AI分野での出遅れを大きな問題とはみなしてこなかった。背景には10億台を超えるデバイスの稼働基盤と高い顧客ロイヤルティーがある。ターナス氏は今後、アップル製品こそがAI活用に最適なデバイスであると消費者を納得させる必要があり、それがティム・クック前CEOから引き継いだ勢いを維持できるか、それとも追い上げを迫られるかを左右するとみられている。

今回アップルは上位機種の「iPhone Pro」と「iPhone Pro Max」を更新する一方で「iPhone Air」や標準モデル、低価格モデルの刷新は来春まで見送る見通し。市場の関心を、今回の発表会の主役となる折りたたみ式モデルへ集中させる狙いだ。

市場調査会社IDCのシニアリサーチディレクター、ナビラ・ポパル氏はロイターに「2500ドルという価格設定でも、アップルの折りたたみ式端末は飛ぶように売れるだろう。アップルは排他性、高級感、希少性を演出することに非常に優れている」と指摘した。

その上でポパル氏は、折りたたみ式スマホのスマホ市場全体に占める比率は依然として1桁台にとどまるものの、この新製品が来年末までに450億ドル超の売上高をアップルにもたらすと予測している。

折りたたみ式スマホの最大の魅力は、約20年続いたバータイプのスマートフォンとは異なる新しさにある。サムスン電子 、グーグル 、中国の華為技術(ファーウェイ)は2019年以降、折りたたみ式スマホを販売してきたが、アナリストらはアップルが後発参入の利点を生かし、重要な技術課題を解決するとみている。具体的には、長期間の使用に耐える堅牢なヒンジや、展開時の画面の折り目を目立たなくする技術などが挙げられる。

ムーア・インサイツ&ストラテジーのアナリスト、アンシェル・サグ氏は「アップルは競合他社の成功例と失敗例の両方を見てきた」と説明した。

ターナス氏にとって最大の課題は、新しいSiriの利用拡大を促し、利用者や開発者に対して、オープンAIなど競合各社のペースに追随できることを示すことにある。競合企業は数週間ごとに大幅な機能改善を実施している半面、アップルは従来比較的ゆっくりとした製品開発サイクルを採用してきた。

クリエーティブ・ストラテジーズのカロリーナ・ミラネシ氏は「もしSiriが依然として使い勝手の悪い状態であれば、9日の発表会はもっと難しいものになっていただろう。現在はSiriが価値を提供していると自信を持って言える状況だが、継続的な改善と競争力維持が必要だ」と述べた。

アナリストの分析では、過去5年間にわたりハードウエア開発責任者として比較的目立たない立場にあったターナス氏は、まず高性能なデバイスを提供し、それを基盤に端末内AI機能を拡充する戦略を打ち出す見通しだ。

ただ規制面の課題も大きい。ディープウォーター・アセット・マネジメントのジーン・マンスター氏は、Siriの刷新版が中国で承認を得るのは2028年までかかる恐れがあり、また欧州では規制上の対立から当初は利用できないとの見方を示した。

同氏は「米国市場で予定通り提供開始できるかどうかが極めて重要だ。それによって欧州でも展開できるという市場の信頼を築くことができる」と述べた。

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