認知症と診断されているにもかかわらず、本人にその認識がないか、あるいは診断を申告していない高齢者が米国には少なくないことが、米イェール大学の研究で明らかになった。
医学誌「JAMA Network Open」に掲載された研究によると、対象となった米国の高齢者の67%が、医療記録上は認知症と診断されていたにもかかわらず、本人は診断を受けていると申告していなかった。この割合は、同じ対象者における他の慢性疾患の2倍以上に上る。
研究を主導したイェール大学の健康政策・経済学准教授、シー・チェンによると、同様に本人が診断を申告しなかった割合は、高血圧で23%、関節炎で17%、糖尿病で39%、うつ病で46%だった。
チェンによれば、認知症は「人が受ける診断の中でも、特に強い偏見を伴うものの1つ」であり、そのため患者が診断を否定したり、隠したりすることがあるという。
一方で、医療者側から診断が「適切に伝えられていないケースも多い」とチェンは指摘する。医師が認知症の疑いや暫定的な診断をカルテ(医療医録)に記載していても、患者や家族に明確に説明していない場合があるためだ。
米国では高齢者の10人に1人以上が認知症を抱えており、本人だけでなく家族にも影響を及ぼす。研究チームは、患者が診断を知らなかったり、認めていなかったりすれば、ケアの計画に支障を来し、患者の安全を脅かすほか、病気の管理にも十分に取り組めなくなる可能性があると警告する。これは、早期発見のメリットを生かす上で大きな障害になるという。
研究に携わったイェール大学の博士研究員、ユーティン・チエンは、「診断は、患者にはっきりと伝えられ、その後に具体的な支援があって初めて意味を持つ」と述べる。