Miranda Murray Kirsti Knolle
[ベルリン 6日 ロイター] - ドイツ東部ザクセン・アンハルト州で6日に実施された州議会選挙は、反移民など極右的主張を掲げる右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が出口調査の得票率44%で首位に立った。極右政党が第2次世界大戦後初めて州レベルで政権獲得に近づいた形となり、ドイツ政界に大きな衝撃を与えている。
AfDはメルツ首相率いる保守陣営を大きく引き離した。こうした事態は連立与党への強い不満と、政治の分断が進む中で強硬路線を掲げる政党への支持拡大を反映したとみられる。
最終的にAfDが州議会で単独過半数議席を確保すれば、移民の大幅な制限に向けて州政府の主導権を握れるほか、ロシアとの関係修復、ウクライナ支援の縮小、ユーロ離脱といった政策実現を巡り、ドイツ全土で政治的影響力を強める足掛かりを得ることになる。
開票作業は続いており、AfDが単独で州の政権を担えるだけの議席を確保したかどうかは現時点で不透明。公共放送ZDFによると、投票率は77%に達した。
AfDの州首相候補ウルリヒ・ジークムント氏(35)は「われわれはこの国の歴史を作った。国民は政治的変化を望んでいることを明確に示した。そしてその変化をAfDとともに実現したいと示した」と勝利宣言を行った。
出口調査公表後、ジークムント氏は同党の全国共同党首2人と並んで勝利を祝福。州都マクデブルクの開票会場では支持者らがドイツ国旗を振り、抱き合って歓喜した。
トランプ米大統領は自身の交流サイト(SNS)に選挙結果の画像を投稿し、欧州各国の右派勢力も今回の結果を「変化への民意」と歓迎した。
一方、メルツ氏にとってこの結果は大きな痛手となった。景気低迷からの脱却を目指す改革案や発信時の失言が重なり、支持率は歴史的な低水準に落ち込んでいる。
公共放送ARDの調査では、州内有権者の87%が連邦政府に不満を持っていると回答した。ジークムント氏は選挙期間中、メルツ氏を「AfDにとって最高の選挙運動員」と皮肉っていた。
ドイツ経済研究所(DIW)のマルセル・フラッチャー所長はロイターに「今回の結果は何よりも連邦政府に対する不信任票だ」と指摘した。
メルツ氏は企業支援策や財政支出拡大による景気回復を目指しているが、AfDが勝利すれば州のイメージが損なわれ、海外企業の投資が減少する可能性があると警告していた。
ドイツの主要政党はこれまでAfDとの協力を一貫して拒否している。AfDは同州の憲法擁護庁から「右翼過激派」に分類されているためだ。
ただ小政党の「ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟(BSW)」が議会進出ラインを突破する見通しとなっており、AfDの連立相手となる可能性も取り沙汰されている。
人口約200万人のザクセン・アンハルト州はドイツでは比較的小規模な州とはいえ、今回の結果は2013年結党のAfDの急速な勢力拡大を改めて示した。直近のINSA世論調査では、AfDの全国支持率は28%で首位。保守陣営の20%を大きく上回った。
AfDは旧東ドイツ地域で特に強い支持を集めているだけでなく、西部のバーデン・ビュルテンベルク州とラインラント・プファルツ州でも今年、それぞれ約20%の票を獲得し、全国的な支持拡大が進んでいる。
欧州では右派政党が勢力を伸ばしているのが各国共通の情勢。それでもドイツではナチス時代の歴史を背景に、主要政党はAfDとの協力に慎重な姿勢を維持する。
これに対してAfD側は過激派との批判について「支持者への侮辱であり、危機感をあおるためのレッテル貼りだ」と反論している。選挙戦でAfDは既成政党への不満を取り込み、移民抑制や治安強化、伝統的価値観の重視を訴えた。