ロシアの戦術核兵器が先週、再びニュースをにぎわせた。まさにクレムリンの思うつぼだ。

きっかけは、クレムリンに近い情報筋の話として、ロシア政府内で「ウラジーミル・プーチンは最終手段としてウクライナで戦術核を使用する可能性がある」と考える当局者が増えていると伝えたブルームバーグの報道だった。同じ週には、CIAのジョン・ラトクリフ長官が予告なしにモスクワを訪問した。

ロシアの強硬派には、それを公然と口にする者もいる。軍事アナリストでロシアの軍事誌『ナショナル・ディフェンス』編集長のイーゴリ・コロチェンコは最近、戦術核を使って欧州からウクライナへの武器供給を断つ作戦をロシア軍参謀本部が策定すべきだと主張した。

今年に入ってからは、超強硬派のオリガルヒ(新興財閥)コンスタンチン・マロフェーエフが、「20~25キロトンの攻撃」によって1カ月以内に「特別軍事作戦」を終わらせるべきだと訴えている。

恐ろしい話だ──見出しや物騒な発言だけを見ている限りは。実際は、ロシアによる戦術核の脅威は誇張されている。そのことを示す証拠をすべて紙に印刷し、それを積み上げてウクライナに落としたなら、実際の核弾頭より大きな被害をもたらすかもしれないほどだ。

ロシアにとって最も有用な核兵器とは、決して発射しない核兵器だ。その威力は爆発力ではなく、ウクライナへのさらなる支援をためらわせる力、そして「今回のロシアのレッドライン(最後の一線)こそ本物なのではないか」と政治家たちに考えさせる力で測られる。

常態化する核の脅し
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