Mariko Sakaguchi

[東京 1日 ロイター] - 東京円債市場で1日、長期金利の指標である新発10年債利回りは一時3.00%と、1996年9月以来30年ぶりの高水準を付けた。背景にはインフレと財政悪化への懸念があり、3%到達は「通過点」に過ぎないとの見方が出ている。

インフレ懸念を背景とした日銀の利上げ観測と高市早苗政権による積極財政政策への警戒感から金利先高観が払拭できず、この日実施された10年債入札も弱い結果と受け止められた。「大口の投資家による応札が入っていないとの観測が広がった」(国内証券)という。

同日の新発2年債利回りは1.795%と95年以来の高水準、新発5年債利回りは一時2.265%と過去最高となり、軒並み高水準を更新した。超長期ゾーンも5月に付けた高水準に迫るなど、金利上昇の流れが続いている。

ウォーシュ米連邦準備理事会(FRB)議長が先週、米経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で基調的なインフレ率が目標の2%に向かって鈍化しているとの確信が得られなければFRBには「やるべき仕事がある」と述べたことをきっかけに、市場では9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ観測が強まった。中東情勢の不透明感を背景にした原油高も世界的なインフレ懸念につながっている。

外為市場では円安地合いが継続し、輸入物価の上昇が警戒されやすい。高市政権が日銀の利上げに対して慎重との見方も、金融政策の正常化が後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」に陥るとの懸念を生じさせ、日銀の利上げペースが速まるとの思惑やターミナルレート(利上げ最終到達点)上振れリスクへの不安感につながっている。

ロンドン証券取引所グループ(LSEG)リフィニティブのデータによると、市場が予想するターミナルレートの指標となるオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)の2年先1年物フォワード金利は、2.4%付近に上昇。8月下旬から上昇基調が続いている。

財政悪化への懸念も根強い。「直接的な引き金となったのは、2027年度一般会計予算の概算要求総額が143兆円前後に膨らむと報じられたことだ」と、三井住友トラスト・アセットマネジメントのシニアストラテジスト、稲留克俊氏はみる。市場では来年度の国債増発への警戒感も広がっている。

<3%は「通過点」に>

長期金利が心理的節目の3%を付けたことから、市場では「一定の需要が喚起され、いったんもみ合う展開となる可能性はある」(BNPパリバ・アセットマネジメントのシニア債券ストラテジスト、木村龍太郎氏)との声が出ている。

ある国内証券の債券セールス担当は「長期金利3%では、断続的に買いが入ってきており、いったんサポートされている印象だ」と指摘する。また、新発2年債や新発5年債も絶対水準面からの妙味で幅広い投資家からの買いが入っているという。

もっとも、3%到達は「通過点だろう」(SBI証券のチーフ債券ストラテジスト、道家映二氏)との見方は根強い。年末にかけて財政政策への警戒感が続くほか、中東情勢の緊迫化を背景としたエネルギー価格の高止まりや外為市場での円安地合いなど、インフレ懸念はくすぶり続けるためだ。

三井住友銀行のチーフストラテジスト、宇野大介氏は「高市政権が責任ある積極財政政策を撤回するまでは、金利上昇圧力は続いていく」との見方を示す。SBI証の道家氏は、長期金利のレンジが「3―3.25%に引き上がる可能性はそれなりにある」と予想している。

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