行動で示せるか

元FRB高官で現在は研究エコノミストを務めるロバート・テトロー氏は、ウォーシュ氏が「将来の金利見通しを示すことは市場価格をゆがめる」と考えている点に関してその懸念はやや行き過ぎだと指摘。一方で「ウォーシュ氏が現在の経済情勢をどのように認識しているのかを説明したことは非常に良かったし、その評価が極めてオーソドックスだったのも安心材料だった」と解説した。

ウォーシュ氏が議長に就任した5月以降、その慎重な発言姿勢によって生まれた情報の空白を埋めてきたのは、他のFRB高官たちだ。彼らの多くは、長期間にわたり物価上昇率がFRBの目標である2%を上回っている状況を踏まえ、追加利上げの可能性を積極的に示唆し、明確に利上げを支持する発言を行う当局者もいた。

もっとも多くの高官は、危機時代の遺物となったフォワードガイダンスはもはや必要ないというウォーシュ氏の考え方には賛同している。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は今月初め、ロイターのインタビューで「6月16-17日の会合でその慣行を終了させたのは、まさに正しい判断だった。不確実性が大きく、将来の方向性や政策運営について強い確信を持って語れる状況ではなかったからだ」と言い切った。

とはいえFRB高官らは自身の政策見解を公に示すことに消極的ではなく、むしろそれは説明責任を果たし、より良い政策運営につながるとみなす向きも少なくない。クリーブランド地区連銀のハマック総裁は、ウォーシュ氏の講演に先立つブルームバーグテレビのインタビューで「自分の考え方を積極的に伝えることは、この仕事において極めて重要だと考えている。企業や家計がより適切な意思決定を行えるよう、自分の見解を市場に示す必要がある」と説明した。

シカゴ地区連銀のグールズビー総裁も、27日に公開されたポッドキャストで、FRBの思考を国民に伝える重要性に言及。「経済をどうみているのか、あるいはどのように反応するのかについて説明しなければ、人々は好き勝手に解釈してしまう。(その結果)市場の変動はむしろ大きくなる可能性がある」と警告した。

これに対して現在ペンシルベニア大学ウォートン校の教授を務める元フィラデルフィア地区連銀総裁のパトリック・ハーカー氏は、ウォーシュ氏にとって重要なのは言葉だけでなく行動だと強調した。

その上で「物価上昇率が既に約6年間もFRB目標を上回っていることに触れながら「物価上昇を2%に戻すことがわれわれの使命だと言い続けながら、実際に必要な措置を取らないというわけにはいかない。昔から言われているように、行動は言葉よりはるかに雄弁だ」と述べた。

[ロイター]
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