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David Lawder

[アッシュビル(米ノースカロライナ州) 30日 ロイター] - ベセント米財務長官は今週の主要20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議において、各国に世界的な貿易不均衡の是正や経済成長の促進、イランとの取引関係の縮小を求める一方、米国の財政赤字拡大や国債利回り上昇への懸念の払拭にも取り組む方針で、経済外交手腕が問われる局面となる。

会議は今年の議長国となっている米国の南部ノースカロライナ州アシュビルで8月31日と9月1日に開催される。ベセント氏は、南アフリカが議長だった昨年のG20の枠組みとの距離を置いていた米国の姿勢を転換し、トランプ政権の世界観を反映した議論を主導する考えだ。

イランを巡る紛争長期化に伴ってホルムズ海峡は閉鎖状態が続き、多くのG20加盟国の経済成長を圧迫している。ベセント氏はイラン産原油の購入やテヘランとの取引を支援する国に対し、米国が二次制裁を科す可能性を警告。米財務省は29日、イラン関連取引への関与を理由に、アラブ首長国連邦(UAE)に支店を持つエジプトの銀行に制裁も発動した。

こうした状況を受け、G20ではさらなる対立が生じる恐れが出ている。中国やロシアも参加するG20は、ウクライナの戦争など地政学的問題を巡り以前から足並みがそろわない状況が続いていた。

米シンクタンク大西洋評議会の国際経済部門責任者を務めるジョシュ・リプスキー氏は「ベセント氏はイラン問題を最重要課題として取り上げ、制裁強化を訴えるだろう。しかし多くの参加国は別の議題を望み、関税問題を取り上げたいと考えている」と指摘した。

今年2月に米連邦最高裁が国家非常事態法に基づくトランプ大統領の包括的な関税措置を違法と判断した後、政権は別の法的根拠を用いて関税政策の再構築を進めている。7月に米国は、強制労働規制の執行が不十分だとしてG20各国や欧州連合(EU)を含む60の国・地域に対し、10%または12.5%の関税を導入。過剰生産能力への対応を理由とする別の通商調査では、主要貿易相手国16カ国・地域に追加関税を課す方針で、その半数以上がG20加盟国となっている。

米財務省高官は貿易不均衡が公正な競争を妨げる各国政府の政策に起因すると主張し、今回の会議でも主要な議題になるとの見方を示した。

ただ経済学者の間では、米国自身も貿易不均衡是正に必要な財政赤字削減に十分取り組んでいないとの指摘が聞かれる。米連邦債務残高は19日に40兆ドルを突破し、2017年から2倍に増加。市場では米国の財政運営に対する警戒感が強まっている。

元米財務省高官で現在はシンクタンク「OMFIF」の米国部門議長を務めるマーク・ソーベル氏は「G20各国は米国の説明だけでは納得しないだろう」と語る。

その上で「さらに各国経済はトランプ政権の対イラン政策による影響を受けており、多くの国はその政策を支持していない」と断言した。

ベセント氏の市場への対応にも注目が集まっている。今月に入って米30年国債利回りが19年ぶりの高水準に達すると、ベセント氏は長期国債買い戻し額を倍増すると発表し、一時的に利回り上昇を抑制した。しかしこの措置は、ベセント氏の元上司で著名投資家のスタンレー・ドラッケンミラー氏から批判を受けたほか、市場介入色の強まりを懸念する声も中央銀行関係者の間で出ている。

米財務省高官は長期金利について「適正水準を上回っている」との認識を示し、利回り低下に向けた取り組みを続ける考えを明らかにした。

ベセント氏は外国為替市場にも介入姿勢を示しており、最近日本と協調して円相場を支援した。

一方米財務省は、規制緩和やエネルギー増産、民間部門のイノベーション促進を通じた世界経済成長の実現を主張している。これは近年の議長国が主導した議題から離れ、G20を本来の経済協議の場へ戻す狙いの一環という。

昨年の南アフリカは気候変動対策を重視し、24年のブラジルは富裕層課税強化を提唱していた。

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