Johan Ahlander Tom Little

[レイキャビク 30日 ロイター] - アイスランドで29日に行われた欧州連合(EU)加盟交渉再開の是非を問う国民投票は、反対が賛成を上回った。政府は交渉再開を推進したが、漁業の問題などを巡り過半数が反対した。

当初は交渉再開が僅差で支持されると見込まれていたが、今月の世論調査では風向きが変わっていた。

フロスタドッティル首相は記者会見で、アイスランドはノルウェーやリヒテンシュタインとともに参加している欧州経済地域(EEA)協定を通じてEUとの既存の関係を強化することに注力すると表明。

「私にとっても、政府にとっても大きな教訓は、国民がEEA協定に満足しているということだ」と述べた。

欧州委員会の報道官は、アイスランド国民の選択を尊重するとし、同国は引き続きEUの緊密なパートナーだと指摘した。

投票では反対が52.8%、賛成が47.2%。投票率は82.5%だった。

政府はEU加盟を貿易戦争や北極圏を巡る競争に対する「盾」と位置づけ、今回の国民投票について「二度とない」機会だと訴えていた。フロスタドッティル氏は投票結果を受け、自身が率いる中道左派連立政権が政権を担う限り、この議論には終止符が打たれると述べた。

あるEU外交官はロイターに対し「EUにとって明らかに後退だ」と述べ、漁業と独立性の問題が決定的だったとの見方を示した。

アイスランドは北大西洋条約機構(NATO)加盟国だが常備軍を持たない。トランプ米大統領がNATOへの関与を疑問視する中、今回の国民投票ではEU加盟によってアイスランドの安全保障が強化されるかどうかも議論の的になった。

だが、一部のアイスランド国民にとっては安全保障よりも漁業の方が重要な問題だった。

国民は高インフレと高金利に苦しんでおり、財政問題も争点となった。賛成派はEU加盟やユーロ導入により状況が改善する可能性があると訴えていた。アイスランドの政策金利は8%で、欧州中央銀行(ECB)の2.25%と比べて高水準にある。

ただ、アイスランド大学国際問題研究員のビルボルグ・アサ・グジョンスドッティル氏は、高い給与水準が経済的打撃を大幅に和らげており、大多数の国民にとって影響は限定的だと指摘。

「今回の結果の最大の要因は、アイスランドがEUに加盟しなければならない経済的な緊急性が存在しないことだ。安全保障や防衛の面でも、国民は緊急性を感じていないようだ」と述べた。

アイスランドは2009年にEU加盟を申請したが、欧州懐疑派の政権が13年に交渉を打ち切った。

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