過去を記憶できない者は、それを繰り返す運命にある──。アメリカの哲学者ジョージ・サンタヤーナによるこの警句は、多くの政治家や思想家によって語り継がれてきた。

筆者は先週、1972年の名著『ベスト&ブライテスト』を読み返しながら、このサンタヤーナの名言を何度も思い出した。

今は亡きジャーナリストのデービッド・ハルバースタムによる同書は、ジョン・F・ケネディ大統領とリンドン・ジョンソン大統領の両政権が、ベトナムにおける無謀で勝算のない戦争に、いかにアメリカを引きずり込んでいったかを丹念に描いている。

ベトナム戦争は人為的な悲劇であり、アメリカという大国が犯した大失敗だった。その後、アメリカも世界も大きく変わったが、当時のアメリカが戦争へと突き進むなかで示した認知力の欠如は、現代のイラン戦争への姿勢でも見て取れる。むしろ一段と悪化したと言っていい。

まず、ハルバースタムの著書のタイトルから考えてみよう。ベスト・アンド・ブライテストとは、ずばぬけて優秀な人という意味だ。これには、ケネディがホワイトハウスに集めた当時の最高の知性の持ち主たちが、外交政策についていかに間違った判断を下し続けたかという皮肉が込められている。

Amaznハルバースタムの名著『ベスト&ブライテスト』
ハルバースタムの名著『ベスト&ブライテスト』(1972年)は、アメリカがベトナム戦争に突入した経緯を描いた
2つの戦争の間に多くの共通点がある
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