Vitalii Hnidyi Dan Peleschuk

[ハリコフ州(ウクライナ) 26日 ロイター] - 戦場に取り残された2人の負傷兵が見えた。1人は、ロシア軍の攻撃によって動作が停止した地上ドローン(無人地上車両)の上で動けずにいる。何とかしなければならないと、ウクライナ軍のウラジスラフ・ポルスキー指揮官(29)は考えた。

ポルスキー氏は元理科教師で、2023年に軍へ入隊した。約15キロ離れた指揮所のモニター越しに兵士らを見守っていた。

彼らとの間には「キルゾーン」が広がっていた。地雷が散在し、動くものを全てを攻撃しようと待ち構える飛行ドローンが飛び交う危険地帯だ。

軍では「教師」のコールサインで呼ばれるポルスキー氏。灰色のピックアップトラックに飛び乗り、焼け焦げた畑や車両の残骸を横目に、ウクライナ北部の戦場を猛スピードで駆け抜けた。ヘルメットも防弾チョッキも身に着けていなかった。

「もし自分が同じ立場だったら、誰かに助けに来てほしいし、置き去りにはされたくないだろう」。中尉のポルスキー氏はロイターに対し、別の大隊に所属する2人の兵士を救出した15日の任務を振り返りながら語った。

この行動は国内で大きな注目を集め、同氏は数日後、最高位の軍事勲章「ウクライナ英雄」を授与された。ゼレンスキー大統領は24日、キーウで行われた独立記念日の式典で勲章を手渡し、「人々は気遣われる必要がある。ありがとう、ウラジスラフ」と声をかけた。

<戦場技術の限界>

ポルスキー氏は、負傷兵らのもとへ急行しながら、どうやって2人を荷台に乗せるかを考えていたと語った。

2人の兵士はウクライナ北東部のハリコフ州での戦闘任務中に負傷し、避難のため無人地上車両で搬送されていた。その車両が爆薬を搭載したロシア軍の小型高機動ヘリコプター型ドローンの攻撃を受けた。

ウクライナ軍は「キルゾーン」内での避難など危険な任務への人員の関与を抑えるため、遠隔操作の無人車両を活用し、兵力で優るロシア軍ロシア軍に対抗しようとしている。

しかし今回ロシアの攻撃が成功したことは、比較的低速で基本的な機能しか持たないこうした車両の限界を浮き彫りにした。ロシア軍のドローンは無人地上車両のスターリンク端末を破壊し、操縦者との通信を遮断して車両を動けなくした。

負傷兵の1人は道路脇の溝まで這って移動し、草むらに身を隠すことができた。だが、もう1人は右足が骨だけでつながった状態で、4輪車両の上に取り残されていた。

ウクライナ軍は攻撃用ドローンも広く活用しており、ロシア兵約3万人を毎月死傷させているとしている。ロシア側はこの数字について、誇張されていると一蹴している。

双方はしばしば、ドローンが相手兵士をキルゾーン内で追い詰める映像を公開している。

ロイターがポルスキー氏の所属する第475突撃連隊から独占入手した監視ドローン映像には、同氏のトラックが砂利道を猛スピードで走り、方向転換した後、損傷した無人車両に向かって急速にバックする様子が映っている。

ロイターは映像から救出場所を特定できたが、連隊は安全保障上の理由から場所を公表しないよう求めた。

Tシャツに短パン姿のポルスキー氏は負傷兵2人を荷台に乗せ、ロシア軍のドローンが新たな標的に向かうのをかわしながら基地へと急いだ。

同氏は兵士らの目に浮かんだ恐怖の色を覚えている。自分自身も怖かったという。だが「恐怖をコントロールする方法を知る必要がある」と語った。

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