Leigh Thomas

[パリ 26日 ロイター] - 来年のフランス大統領選に挑む急進左派「不屈のフランス(LFI)」のジャンリュック・メランション氏が、同国中央銀行が保有する国債の帳消しを再び主張している。ルコルニュ首相は、投資家の信頼を損ねる、自らの首を絞める行為だと批判した。

巨額の債務・財政赤字を抱えるフランスは、その対処法を巡る対立が政局を生む構図となっている。

メランション氏は、2012年、17年、22年と過去に3度大統領選に立候補したが、いずれも第1回投票で終わった。

同氏は選挙活動で「フランス銀行(中央銀行)が保有する18%(の国債)を取り上げて、火にくべるだけでよい」と主張した。まだ構想の全容を明らかにしていないが、基本的な考えは、こうした措置によって、国内総生産(GDP)比116%を超える公的債務の表面的な比率を引き下げ、公共支出を拡大する余地を生み出すというものだ。

財政問題に対する非正統的解決策は、一部有権者から支持を得ている。

26日に発表された世論調査は、2027年大統領選でメランション氏が主流派の候補者を抑えて決選投票に駒を進め、極右のマリーヌ・ルペン氏と対決する勢いであることを示した。

メランション氏のアイデアは目新しいものではない。直近ではコロナ禍の際、一部エコノミストや政治家が、ユーロ圏経済を支えるために欧州中央銀行(ECB)が商業銀行から買い取った国債を帳消しにするよう求めた。

このような提案は、中央銀行による事実上の財政ファイナンスにつながり、欧州連合(EU)条約で明確に禁じられている上、市場の信認を損なうということになるということで却下されてきた。

<投資家の信頼失墜>

メランション氏の主張に対しても、同様の反発が出ている。

ルコルニュ首相は、「純然たる詐欺」と表現し、家計や企業に打撃を与えると指摘した。フランスが、このアイデアを少しでも検討する素振りを見せれば、投資家を不安にさせると警告した。

「26年に3100億ユーロ(3610億ドル)を調達する必要があるフランスが、自らの債務の支払い約束を反故にした場合、誰がわれわれに資金を出してくれるというのか。たとえ資金提供に同意したとしても、法外な金利を要求してくるだろう」とXに投稿した。

仏中銀はコメントを控えているが、ビルロワドガロー前中銀総裁は以前、帳簿上の国債を帳消しにすればフランスはユーロ圏にとどまることができなくなり、中央銀行は巨額の損失を抱え、その負担を納税者に強いることになると述べている。

しかし、全ての人がこの構想に尻込みしているわけではない。

最近ベネズエラの巨額債務の再編業務を受託した左派系投資銀行家マチュー・ピガス氏は、メランション氏を支持。先週末に開かれたLFIの夏季会議で、仏中銀が保有する国債は「いかなる経済的、金融的影響もなしに」帳消しにできると述べた。

この発言に対し、国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミストだったオリビエ・ブランシャール氏は「馬鹿げている」とXに投稿。中銀が国債を帳消しにすれば、唯一の株主であるフランス政府に還元されるはずの利息や利益を得られなくなり、民間投資家の信認を揺るがす一方で、帳簿上はこの措置が無意味なものになると指摘した。フランスの赤字が過大であることを認めた上で「誤った解決策を提案し、誤った期待を抱かせることは、無責任だ」と述べた。

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