Christine Chen Scott Murdoch
[シドニー 25日 ロイター] - オーストラリアの大手銀行株を巡り、投資家が高い株価バリュエーションに疑問を抱き始めている。収益源となってきた住宅ローンの縮小が成長を鈍化させ、借り手を巡る競争が激化する恐れがあるためだ。
いわゆる「4大銀行(ビッグ・フォー)」は8月の決算発表でおおむね堅調な業績を示したものの、住宅ローン申請件数はいずれも2桁の減少となり、最近の税制改正と金利上昇を要因に挙げた。
こうした見通しを受け、長年にわたり安定した配当を提供し市場全体を上回るパフォーマンスを示してきた同セクターの取引環境が一段と厳しくなるとの懸念が強まっている。
ミルフォード・アセット・マネジメントのシニア投資アナリスト、ミン・ファム氏は「見通しは悪化しているように感じられ、明るい材料は多くない」と指摘。「われわれは明らかに弱気寄りだ」と述べた。
ANZ、コモンウェルス銀行、ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)、ウエストパックの4大銀行の成長鈍化見通しは、豪株式市場の重しとなる。同4行はS&P/ASX200指数の約24%を占め、海外機関投資家と国内投資家の保有比率が最も高い銘柄に含まれる。
4行は合わせて、オーストラリアの2兆5000億豪ドル(1兆7700億ドル)規模の住宅ローン市場の70%超を支配している。
こうした支配的地位が、豪州の銀行を世界で最も割高な部類に押し上げてきた。予想株価収益率(PER)で見ると、JPモルガン、シティグループ、バンク・オブ・アメリカ、HSBCを上回る。
四半期決算後、豪州の銀行は16.2─24倍のPERで取引されているのに対し、より規模の大きい海外の競合行は14─15倍にとどまる。
豪4大銀行のうち3行は今年に入って株価が2─12%下落。これに対し海外の4行は11─30%上昇したが、それでも豪州勢は割高な水準を維持している。
<住宅市場の苦境>
モルガン・スタンレーのアナリストは、住宅ローン市場の減速、競争激化、信用の質の悪化により、2027年の業績には下振れリスクがあると指摘。株価のディレーティング(評価下げ)の根拠が強まると付け加えた。
豪州の住宅需要は、政府が不動産投資家向けの手厚い税優遇を廃止して以降弱まっており、銀行の主要な収益源が脅かされている。
不動産コンサルタントのコタリティのデータによると、オークション成約率は6年ぶりの低水準に低下し、全国平均の住宅価格は過去4カ月で約2%下落した。
その結果、住宅ローン申請件数は急減。ウエストパックが第3・四半期の業況報告で20%と最大の落ち込みを報告した。NABとコモンウェルス銀行はいずれも15%減、ANZは12%減となった。
シティは、セクターの収益成長率が2027会計年度に前年度の4.4%から2.9%に「大幅」鈍化すると予測している。