Miho Uranaka Makiko Yamazaki

[東京 25日 ロイター] - 政府は、企業が非中核事業の売却益を成長事業の買収に充てることを条件に、課税を無期限に先送りできる新しい税制の導入を検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。8月末の税制改正要望への盛り込みを経て、年末に策定する2027年度税制改正大綱への反映を目指す。企業の事業ポートフォリオの組み替えや成長投資を促すのが狙いで、長年滞っていた企業の事業再編が加速する可能性がある。

関係者によると、この案では、企業が子会社の株式や事業の売却により得た資金を数年以内に中核事業に関連する買収へ再投資し、さらに買収後の事業への投資も確約することを条件に、売却益にかかる約30%の法人税を無期限に繰り延べることができる。買収後の再投資は、賃上げや設備投資などの成長投資も条件となる見通し。売却から買収までの期間など、詳細は今後詰める。

売却益への課税は次の買収に回せる資金を目減りさせ、事業入れ替えの足かせとなっていた。政府は、企業が低収益事業を売却し得られた資金を中核事業の強化に回す循環をつくりたい考えで、高市早苗首相が進めるガバナンス改革を加速させる上でも重要な施策の一つとなる可能性がある。

背景には、多くの企業が低収益事業を抱え続け、資本を成長分野に振り向けられていないとの政府の問題意識がある。経済産業省のデータによると、投下資本のうち資本コストを上回る価値を生む部門への配分は35%にとどまる。2020年の報告書では、日本企業は事業売却の基準を持たず、規模や雇用の安定を優先してきたと指摘している。

政府はこれまでもスピンオフ税制(17年)やパーシャル・スピンオフ税制(23年)など企業再編を後押しする措置を導入したが、活用実績は限られている。今回の案は、2000年代初頭にドイツで実施され、株式売却益の原則非課税化で企業の持ち合い解消と事業再編を促した税制改革を参考にした。

政府はコーポレート・ガバナンス改革を通じ、企業に事業ポートフォリオの見直しや経営資源の配分について、具体的な説明と継続的な検証を求めている。同時に事業ポートフォリオの改善や事業再編を促す「強力なインセンティブ措置」を検討するとしていた。今回の税制は、こうした改革の中核をなす施策と位置付けられる。

日本のM&A(合併・買収)件数は過去最高水準に達する一方、資本や人材が生産性の高い企業へ移る質的な再編は進んでいない。ロンドン証券取引所グループ(LSEG)によると、昨年、日本企業が関与したM&A総額は前年比2倍超の約3529億ドルで過去最高となり、このうち日本企業による事業売却は447億ドルだった。

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