Pavel Polityuk Olga Popova
[キーウ/モスクワ 19日 ロイター] - 戦闘中のロシアとウクライナの両国が相手国の民間船舶も標的としている影響で、アゾフ海および黒海の沿岸から輸送船で出荷される両国産穀物の輸出能力の97%超が失われたことがロイターの試算で分かった。
低価格の穀物の供給源が断たれたことで、世界的な穀物価格高騰が起きている。小麦の世界的な価格指標であるシカゴ小麦先物価格は今月に入って約6.5%上昇し、1年前と比べて約30%高い水準にある。
穀物の主要輸出国であるロシア、ウクライナ両国は過去1カ月間、相手国の港湾や船舶への攻撃を激化させている。このため中東、アフリカ、アジアの穀物輸入業者はロシア、ウクライナからの調達が困難になり、代わりにオーストラリアや米国といった価格の高い供給元から穀物を調達せざるを得ない状況に追い込まれた。
公式統計とアナリストの推計に基づくロイターの試算によると、ロシアとウクライナは直近のシーズンにアゾフ海および黒海の沿岸にある穀物ターミナルから月平均720万トンの穀物を輸出していた。デメトラ・ホールディング傘下の物流企業ルサグロトランスのアナリストはロシアの8月の小麦輸出量を180万トンと推計し、月間としては2010年以来の低水準となる。
現在はウクライナ黒海沿岸のターミナルからは一切出荷されていない。当局者や業界筋によると、ロシアで公式に閉鎖されていない穀物ターミナルは、黒海沿岸のトゥアプセにある月間能力約16万トンの小規模ターミナルだけとなった。
ロシアの港湾を経由して穀物を運んでいるカザフスタン穀物連合のエフゲニー・カラバノフ氏は「現在、黒海での民間船舶の航行は事実上停止している」と説明した。情報筋によると、ロシアの港で穀物を積み込んでいたか、準備を進めていた複数の船舶がドローン(無人機)に攻撃された。
一方ウクライナ南部オデーサ州にある港湾は7月末に操業を事実上停止した。ウクライナのビソツキー農業相は先週、8月中旬時点で新たな船舶の入港は記録されていないと明らかにした。
ウクライナの穀物輸出量のうち、東欧と結ぶ鉄道網、ドナウ川沿いの港湾がそれぞれ約45%を占める。残りの10%は陸運を使う。ビソツキー氏は「港湾が封鎖されている限り、能力の50%しか輸出できないと見込んでいる」と語った。