Brenda Goh Joyce Lee

[ソウル 20日 ロイター] - 韓国は22日、北極海航路を経由して欧州に向かうコンテナ船を出航させる。北極海の海氷の融解によって開かれた航路の商業的な実現可能性を検証する狙いがあるが、運航にはロシアとの協力が必要なため、西側諸国との摩擦を招く恐れもある。

航海が成功すれば、韓国にとって北極海航路を利用した欧州向けの初の商業運航となる。これにより韓国は中国やロシアに続き、同航路で貨物輸送サービスを試験運航または展開する数少ない国の1つとなる。

運航会社パンスターによると、コンテナ船「パンスター・アクロ」は南東部の釜山港を出港後、英フェリクストウ、オランダ・ロッテルダム、ポーランド・グダニスクに寄港し、帰港までの所要日数は約40-45日を見込む。

同社関係者は「この航海が行われる9月ころは北極海の海氷が年間で最も少なく、安全な航行が可能になる時期だ」と述べた。

李在明大統領が重点政策の1つに掲げているのが北極海航路の活用で、韓国政府は同航路の利用を通じて釜山港を世界的な海運拠点へ発展させるとともに、2030年までに北極海航路を定期的な貿易ルートとして確立したい考えだ。

ただ西側諸国の外交関係者は計画に不満を示している。航海にはロシア当局との協議や航行許可の取得が必要となるためだ。欧州のある外交官は「われわれはロシアを孤立させたいのであって、ロシアとの関与は望んでいない」と語り、こうした懸念を韓国政府に伝えたことを明らかにした。

また北極海航路の専門家は、航行中に船舶が氷に閉じ込められるなどのトラブルが発生し、ロシアの支援を受けた場合、韓国が制裁違反のリスクに直面する可能性があると指摘している。

韓国海洋水産省とロシア外務省はロイターのコメント要請に応じていない。

近年は地球温暖化に伴う海氷融解の加速で「北方海航路(NSR)」として知られる北極海航路の利用条件は改善している。ノルウェーの海運追跡機関ハイノース・ロジスティクス・センターによると、25年に北方海航路を通過した船舶は88隻、通航回数は103回となり、24年の97回、2022年の43回から増加した。利用の中心はロシアや中国の船舶だという。

韓国海洋水産省は、北極海航路を利用することで、従来のスエズ運河経由に比べ航海日数を最大35%短縮し、燃料消費の削減も期待できるとしている。

もっとも商業的な採算性の評価は容易ではないとの見方もある。海洋政策研究誌に昨年掲載された研究では、船舶の大型化が難しいことや保険料の高さなどが輸送単価を押し上げる要因として挙げられた。

パンスターは政府支援による実証事業の入札で選定され、韓国海運大手HMMから取得した2700TEU(20フィートコンテナ換算)級コンテナ船を極地航行仕様へ改修している。乗組員は韓国人およびインドネシア人計20人で構成される。

同社は自動車部品、食品、化粧品など少なくとも1300TEU分の貨物確保を目指しているほか、中国や日本からの貨物も募集しており、日本企業からも関心が寄せられているという。

パンスター関係者は、中国が既に同航路で先行者利益の確保に動いているため、韓国にとっても早期参入が重要だと強調した。

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