Kate Abnett
[ブリュッセル 19日 ロイター] - 人為的な気候変動が欧州周辺海域で今年観測された記録的な海水温上昇の主因だったとする分析結果を、国際研究グループ「ワールド・ウェザー・アトリビューション(WWA)」が19日に公表した。研究者らは海洋生態系や沿岸地域社会に深刻な影響を及ぼす恐れがあると警鐘を鳴らしている。
この夏厳しい熱波に見舞われている欧州は、周辺海域でも異例の高水温が続いている。地中海の平均海面水温は7月に摂氏27度となり、7月として過去最高を記録。スペイン・マヨルカ島沖の観測ブイでは8月上旬に33度を観測した。
WWAの分析によると、人為的な気候変動により、海水温が地中海で約2度、欧州西部周辺海域では約1.4度押し上げられた。WWAは査読済みの手法を用いて、地球温暖化が異常気象に与える影響を評価している。
アイルランドのメイヌース大学の気候科学者で、今回の研究の共同執筆者を務めたクレア・バーギン氏は「沿岸地域社会が食料や収入を依存する生態系を大きく変えてしまう恐れがある。また陸上での破壊的な極端気象を引き起こす要因にもなり得る」と指摘した。
分析では、今年の東地中海、西地中海、ビスケー湾沿岸およびイベリア半島沿岸で記録された海水温のピークは、人為的な気候変動がなければ発生が「事実上不可能」だったと結論付けられた。英国とアイルランド沖のケルト海で観測された極端な高水温についても、人為的な気候変動が存在しない世界では約100年に1度の頻度でしか発生しない水準だったとしている。
海水温の上昇は沿岸部の湿度や夜間気温を高めるほか、年後半に発生する激しい暴風雨を強める要因にもなる。さらに温度が急上昇すれば、サンゴなどの大量死を引き起こすほか、鳥類や海洋哺乳類の餌資源にも影響を与え、食物連鎖全体に波及しかねない。
世界気象機関(WMO)によると、主に化石燃料の燃焼による温室効果ガスの排出によって、地球の平均気温は産業革命前と比べて約1.4度上昇。このため、熱波をもたらす高気圧の影響下で、さらに高温になりやすい状況が生じている。
ノースカロライナ大学の海洋生態学者ジョン・ブルーノ氏は、一部の生物種はより冷たい海域を求めて北上しているものの、全ての種が適応できるわけではないと説明。「多くの種が適応できる生物学的限界に急速に近づいている」と訴えた。
WWAによると、今年はビスケー湾の約90%、西地中海の約80%が海洋熱波の状態を経験した。地球温暖化がなければ、この割合は約40%程度にとどまっていたとみられる。