Hiroko Hamada
[東京 13日 ロイター] - 日本企業による自社株取得枠が過去最高ペースで増えている。2026年4月から8月12日時点までの設定枠は約12.7兆円となり、過去最高を記録した25年度の同期を上回る。コーポレートガバナンス(CG)・コードの改訂などを背景に、企業の株主還元策強化の姿勢が継続。自社株買いは株価を下支えする効果があり、目先の日本株を支える材料として意識されそうだ。
<4―8月は前年比2兆円超増>
大和証券がまとめたデータによると、TOPIX構成銘柄の25年の4月―8月末の自社株買い設定額は10兆5000億円で、今年度は決算シーズンが山場を越えた8月12日時点までで12兆7000億円となった。期間が異なるため単純比較はできないが、今年は去年の実績を既に2兆円超上回っている。
大和証券のシニアストラテジスト・橋詰大輔氏は、自社株買い増加の背景について、「株主還元の強化や、現預金の使い道を示す方法として自社株買いが重視されている」と指摘する。合意なきTOBの増加や、CGコード改定も影響しているという。
東証と金融庁が7月21日に公表したCGコード(2026年改訂版)では、「現預金に加え、金融資産や実物資産といった経営資源についても、成長投資等に有効活用できているかを取締役会が不断に検証すべき」との文言が解釈指針に新たに盛り込まれた。
マネックス証券のチーフ・マーケット・アナリスト・吉野貴晶氏は「東証改革もあり、自社株買いをすることで資本効率を上げるという企業の意識が強まっている」との見方を示す。
<株価反発の支え>
企業の積極的な自社株買いは株価を支える材料として意識されそうだ。自社株買いは巨額の手持ち資金流出を伴うケースもあり、「自社株買い実施の発表は、先々の業績見通しに対して企業が自信を持っている証」と、大和・橋詰氏はみる。
自社株買い公表は、経営陣が自社の株価を割安と考えているとも捉えられ、アナウンスメント効果もある。三菱UFJアセットマネジメントのエグゼクティブファンドマネージャー・石金淳氏は「(自社株買いは)特に海外投資家からも好感されやすく、海外からの資金流入も期待できそうだ」と指摘する。
足元では、TOPIXが連日で最高値を更新するなど、日本株全体の地合いはしっかりしている。日経平均は依然、AI(人工知能)関連に振らされやすい一方、自社株買いの動きが広がっていることも一因に「(日経平均ほどAI株の影響が大きくない)TOPIXは底堅い動きが続きそうだ」と、マネックスの吉野氏は話している。