Miho Uranaka Makiko Yamazaki

[東京 7日 ロイター] - 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2026年4─6月期に、四半期として過去最高の24兆円超の運用収益を上げた。国内外の株高を受け、4資産に分散する現行の基本資産構成割合(基本ポートフォリオ)で堅調な実績を示した。政府内では投資方針の見直しを巡る議論が始まっているが、基本ポートフォリオを大幅に変更する動きにはつながっておらず、前回の大幅な見直し時にみられたような政治的な機運も今のところ高まっていない。

<現実路線は許容幅の活用>

GPIFの投資戦略の見直しを巡る議論は、片山さつき金融相が、国内債券利回りの上昇など運用環境が変化する中、政府として公的年金基金に円債などの国内資産への投資拡大を促す方針を示したことがきっかけだ。

ただ、発言から約1カ月が経過した現在も、ある政府関係者によると、GPIFの基本ポートフォリオを近く変更する方向で大きな政策上の動きはみられない。今回、過去最高の収益額を叩き出した背景には国内外の株式が高い収益率を確保し、4資産への分散投資が堅調な運用益を計上したことで、直近の5年に1度の見直しを終えてから約1年で運用戦略を大幅に変更する必要性を訴えることは難しくなる可能性もある。

先の関係者によると、より現実的な選択肢としては、基本ポートフォリオそのものを見直すのではなく、現在の目標配分を維持しつつ許容されている乖離幅の範囲内でGPIFがより柔軟に資産配分を変更できるようにする案があるという。GPIFの基本ポートフォリオは国内外株式と債券の4資産それぞれについて25%を目標としており、資産ごとに5─6%ポイントの乖離が認められている。

6月末の保有比率は国内債券25.59%、外国債券24.60%、国内株式24.48%、外国株式25.33%。基本ポートフォリオが目標とする各25%に近い水準を維持し、国内債比率は変わっていない。

第一ライフ資産運用経済研究所の奥田宏二主席研究員は、GPIFには乖離許容幅をもう少し積極的に使う余地があると指摘する。許容幅があまり活用されていないのはベンチマークとの乖離の小ささを組織として評価している面があり、その結果、過剰にリバランスが行われる可能性があるという。

<見直しには「政治の後押し」も必要に>

GPIFは5年ごとに運用戦略を見直す一方、基本ポートフォリオは毎年度検証するとし、運用環境が大きく変化した場合などには中期目標期間の途中でも見直すことができる。25年度決算時には見直しは必要ないと判断した。

大幅なポートフォリオ変更には政治的な後押しも必要になる。前回大きく配分を変更した14年には、国内債券の目標比率を60%から35%に引き下げる一方、国内株式を12%から25%に引き上げ、外国資産への配分も拡大した。当時は、12年に首相に返り咲いた安倍晋三氏がGPIF改革を経済政策の一環に位置付け、有識者会議を設置するなど政治主導で改革を進めた。

奥田氏は、14年の改革の背景にはデフレからの脱却を目指す中で、日本経済のあり方を変えるという明確な政治的な狙いがあったと指摘。一方、「現在もインフレへの転換は見直しの根拠になり得るが、当時に匹敵するほどの政治的なコミットメントはまだみられていない」という。

足元では基本ポートフォリオそのものを変更するのではなく、リバランスが活発だ。GPIFは、株価の上昇により国内株式の比率が高まる局面では値上がりした株式を売却する一方、相対的に比率が低下した債券を買い入れることで基本ポートフォリオに沿った資産構成を維持してきた。25年度には債券を14兆円超購入しており、これは過去最大額だった。こうした動きは、国内外の株式市況が好調だった26年4─6月期も続いたとみられる。

*〔情報BOX〕GPIFの現状と運用方針、過去の経緯

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