Akash Sriram
[4日 ロイター] - 米実業家イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業スペースXが4日発表した新規株式公開(IPO)後初の四半期決算は、売上高が倍近くに増加し、営業損失も大幅に縮小した。衛星インターネット事業「スターリンク」と人工知能(AI)事業の力強い成長が業績を押し上げた。
ただ、設備投資額は前年同期の28億3000万ドルから180億ドル超に拡大。ブレット・ジョンセン最高財務責任者(CFO)は、今後数四半期は同水準の設備投資が続く見通しだと述べた。
同社は12月までに年換算売上高が1000億ドルに達すると予想。AI計算能力向けの新規設備投資について1年未満で回収可能とし、次世代の「V3」スターリンク衛星を1年以内に少なくとも1000機打ち上げる見通しも示した。携帯電話事業者に対抗する計画も明らかにした。
第2・四半期の売上高は前年同期の41億ドルから92%増加し、78億ドルとなった。LSEGがまとめたアナリスト予想の69億3000万ドルを上回った。売上高全体の半分超を占めるスターリンク事業の売上高は66%増加。マスク氏が将来の成長エンジンと位置づけるAI事業の売上高は約250%急増した。
マスク氏は決算発表後の電話会見で、「われわれは他社よりも速いペースで大規模なAI計算能力を構築していると考えている。AIモデルも大幅に改善させている」と述べた。
スペースXはAIへの設備投資を大幅に増やし、第2・四半期には158億3000万ドルを投入。前年同期は7億4900万ドルだった。
インベスティング・ドット・コムのアナリスト、トーマス・モンテイロ氏は「上場企業となったスペースXの初決算での中心的な問題は、そのストーリーを支える仕組みが実際に機能しているかどうかだった。この点についてマスク氏とチームはいくつかのプラス材料を示した」と述べた。
決算発表を受け、スペースX株は引け後の時間外取引で7.5%下落した。この日の通常取引は決算発表を控え、9.4%高で取引を終えていた。
同社株は約1兆7500億ドルの企業価値評価を得た6月のIPO以来、8%下落している。上場後のロックアップ(保有株式の売却制限)期間満了に伴い、6日から内部関係者や初期投資家の株式が市場に大量に放出される可能性があり、株価にさらなる下押し圧力がかかる恐れがある。
<スターリンクと通信事業が原動力>
スターリンクとスペースXの広範な通信事業は依然として同社の主要な収益源で、マスク氏のAI推進を支えている。
全体の営業損失は前年同期の9億7000万ドルから1億4300万ドルに縮小した。AI事業の営業損失も縮小した。スターリンク事業は営業利益が79%増加した。株主帰属の純損失は5億4100万ドルだった。
ザックス・インベストメント・マネジメントのチーフ市場ストラテジスト、ブライアン・マルベリー氏は「AIが既に収益化に成功していること自体、今日の大きな驚きだ。AI部門の運営資金をスターリンクに頼っていないという点は、非常に重要なポイントだ」と述べた。
スペースXのグウィン・ショットウェル社長は、スターリンク事業でTモバイル、AT&T、ベライゾンの顧客を「かなりの数」獲得できるとの見通しを示した。衛星ネットワークを補完する地上インフラを構築し、「真のモバイルサービス」を目指す方針という。
スターリンクは、消費者、企業、航空、海事、政府向けサービスの拡大に支えられ、第2・四半期末時点で加入者が1200万人と倍増した。ただ、海外市場への参入を拡大し、低価格プランを展開したことで、契約者1人当たりの平均売上高は前年同期比で22%減少した。
スペースXのAI事業には、xAI、対話型AI「グロック」、交流サイト(SNS)「X」、急拡大するデータセンター事業が含まれ、同社最大の投資分野となっている。同事業はアンソロピック、アルファベット傘下グーグル、リフレクションAIとの計算能力契約から収益を上げているが、経常収益の一部はまだ計上されていない。
マスク氏は「スペースXは今年、2ギガワット超の計算能力を構築する見通しで、来年末までには10ギガワット近くの計算能力を持つことになる」と述べた。
宇宙事業の売上高は前年同期比29%増加した。