Erin Banco Mike Stone Jonathan Landay
[ニューヨーク/ワシントン 4日 ロイター] - 米陸軍がイランとの5カ月にわたる戦争で、高精度の長距離ミサイルの在庫の大半を使い果たしたことが関係者3人の話で明らかになった。将来の紛争に対する米軍の即応態勢に懸念が生じている。
これらのミサイルは主に地対地兵器「ATACMS(エイタクムス)」と「PrSM(プリズム)」で、関係筋2人によると、米国はこれらを「ほぼ全て」使い切った。
米国が供与したATACMSはウクライナ戦争で重要な役割を果たし、ウクライナ軍によるロシア領内への攻撃を可能にした。PrSMは新世代の高性能ミサイルでATACMSより射程が長い。こうした兵器は1発当たり100万ドルを超えるが、中国と軍事衝突が起きた場合に重要になると専門家は指摘する。
トランプ大統領は2月にイスラエルと共同でイランへの攻撃を開始し、当初は戦闘が短期間で終結するとの見通しを示していた。しかし戦争が長期化する中、関係筋3人はミサイル在庫の減少によってロシアや中国などへの抑止力が制約される可能性に懸念を示した。
関係者の1人はATACMSとPrSMの在庫減少について、有人航空機による爆撃などのより危険な方法でイランの標的を攻撃することを避けるというトランプ政権の判断を反映していると説明した。
別の関係者によると、米中央軍は開戦前に保有していた地上発射型ミサイルをほぼ使い切ったものの、世界各地にある米軍の備蓄から補充できている。
備蓄データについてコメントを求めたところ、ホワイトハウスはトランプ氏の声明を発表し、米国には「世界のどの国よりもはるかに多くの弾薬」があり「必要量をはるかに上回っている」と強調した。「わが国の防衛企業は今この瞬間もかつてないほど多くの弾薬を製造しており、工場や設備も記録的な水準で拡張している」と述べた。
<防御兵器の在庫も減少>
関係者2人によると、地対空誘導弾パトリオットの迎撃ミサイルなど、防御兵器の在庫が減少していると軍幹部が数週間にわたり大統領に警告してきた。
複数のメディアは先週、軍事顧問が米国の備蓄について警告したことも一因となり、トランプ氏がイラン国内への新たな大規模攻撃を見送ったと報じた。米政府当局者はこれらの報道を否定し、トランプ氏が新たな攻撃を見送ったのは湾岸諸国からの圧力が理由だったと述べた。
米戦略国際問題研究所(CSIS)は先週公表した報告書で、2─7月にパトリオット迎撃ミサイルの約65%が使用され、米国が備蓄するミサイル防衛システム「最終段階高高度地域防衛(THAAD)」の迎撃ミサイルも開戦時と比べ少なくとも38%減少したと推計した。関係者2人はこれらの数字が米政府内部のデータと一致すると述べた。
関係者の1人によると、米国は開戦以降、通常は艦艇から発射される巡航ミサイル「トマホーク」についても、世界全体の在庫の半分弱を使い切った。