さらに、9053人分のMRI画像を分析したところ、砂糖制限を受けていた人々は実年齢よりも脳が若く見える傾向があり、平均で約0.39歳若かった。記憶や認知機能を司る海馬や視床といった一部の脳領域で、容積が大きいことも確認された。
研究チームは「幼少期の砂糖制限が神経生物学的な老化の抑制と、認知症および精神疾患のリスク低下に関連していることを示唆する」と結論づけている。
オーストラリアのトーレンス大学のファハド・ハンナ准教授は、この研究結果について、幼少期の環境が長期的な健康に影響を与えるという現在の学説と一致していると述べる。
「最初の1000日は脳の発達において極めて重要な時期だ」とハンナは言い、「幼少期の過剰な砂糖摂取は代謝異常や慢性炎症につながり、これらは認知機能低下や認知症の危険因子として知られている」と指摘する。
ただし、「アルツハイマー病は遺伝、心血管の健康、教育、生活習慣など多くの要因が絡み合う複雑な病気であり、幼少期の栄養はパズルの1ピースに過ぎない」とハンナは述べる。
また、本研究は相関関係を示したものであり、砂糖の摂取を減らせば、アルツハイマー病などを直接予防できるとまでは言えない。また、当時の配給制度下と現代とでは生活環境や食事傾向が異なる。そのため、この結果だけで、たまに砂糖を口にしたかどうかで子供の将来の認知機能の健康が決まると受け取るべきではないと研究者も専門家も強調している。
とはいえ、今回の発見は「受胎から最初の1000日」が脳の健康にとっても非常に重要な時期であることを改めて示している。生涯にわたる脳の健康は、私たちが考えていたよりもはるかに早い段階から始まっているのかもしれない。
Reference:
Xingji Lian et al, Early-life sugar rationing, brain aging, and long-term neurodegenerative and psychiatric health outcomes: a population-based natural experiment study, npj Aging (2026). DOI: 10.1038/s41514-026-00452-z
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