Jun Yuan Yong
[シンガポール 28日 ロイター] - シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)のチア・ダージウン長官は28日、同国の経済成長について、人工知能(AI)関連の投資ブームの持続可能性という大きな不確実性はあるものの、2026年後半も堅調に推移するはずだとの見方を示した。
チア氏はMASの年次報告書発表に際し、中東紛争もリスクをもたらす要因だと指摘。一方で当面はAI関連の世界的需要がシンガポールの景気を「大きく押し上げ続ける公算が大きい」と述べ、他の産業部門も基調に近いペースで成長を続けるとの認識を示した。
MASは前日、インフレリスクを理由に2会合連続で金融引き締めを実施した。
チア氏は、AI関連の電子機器輸出が今年これまでのアジア全体の輸出の伸びの70%超を占めていることを踏まえ、AI投資ブームが「重大な不確実性要因」だと強調した。この割合は24年の46%から大きく上昇している。
同氏によれば、AIブームが長期化すればインフレにつながる可能性がある一方、AI投資が後退した場合には「設備投資と半導体需要の減少、さらには資産効果の悪化を通じて、世界経済の成長が急激に鈍化する可能性がある」という。
またチア氏は、MASの見通しに対する2つ目のリスクとして、中東紛争の長期化を挙げた。
同氏は「これはわれわれの基本シナリオではないが、原油価格が急騰し、原油および石油製品の供給不足がさらに深刻化するリスクを軽視することはできない」と述べた。
チア氏は記者会見で、今年実施した2回連続の金融引き締め措置は、今後到来するインフレ圧力を効果的に抑制することが期待されると説明した。
その上で同氏は「エネルギー市場の混乱の継続、インフレ率の上昇、株式市場の高いバリュエーションが将来の投資収益に対するリスク要因となる中、先行きの見通しは不確実だ」と語った。