では、そうした状況を避けるために、どのような対策が考えられるか。直接的かつ有効な手段として、まず挙げられるのは「賃上げ」だろう。給与面で優位に立つことは、人材市場における競争力アップにつながるからだ。賃上げによって従業員の働きぶりに正当な評価と報酬で応えれば、エンゲージメントや生産性の向上も期待できる。

実際、中小企業白書でも、賃上げ率が高い企業ほど定着率が高いという結果が出ており、賃上げ率10%以上の企業では、「直近3年間で採用した従業員の定着率が7割以上」と答えた割合が56.4%にのぼっている。

ただし、中小企業の賃上げ余力は大企業に比べて小さく、人件費の増大が企業の経営体力を著しく消耗させるリスクがある点には注意が必要だ。さらに給与への満足度は一時的なもので、賃上げだけで優秀な人材を確保し続けるのは容易ではない。だからこそ、賃上げと並行して「やりがい」や「働きやすさ」の向上にも目を向ける必要がある。

従業員の満足度を高め、人材確保につなげるための具体的な対策例としては次のようなものが挙げられる。

・業務効率化:会計システム、勤怠管理システム、RPAなどの導入による事務業務の削減
・柔軟な働き方:フレックスタイム制、在宅勤務、副業・兼業など柔軟な労働環境の提供
・福利厚生の充実:家賃補助や食事手当、特別休暇、医療支援など法定外福利厚生の充実
・従業員のスキルアップ支援:資格取得支援、外部研修への参加費補助などの実施
・コミュニケーションの活性化:意見を気軽に発言できるオープンな社内風土の醸成

求人応募者数を増やす、意外な「クリーンな分煙環境」の効果

ここでもう一つ、人材確保を実現するための「意外な施策」を紹介しておこう。それは「クリーンな分煙環境」の設置だ。

この施策は、コンテンツマーケティングを手掛けるPAX株式会社が、就業者2000人を対象に行った意識調査から導き出されたもので、調査は「採用選考において無意識に排除されてきた層(※)」が、「どのような応募条件に惹かれるか」を解明することに主眼を置いて実施されている。

※高いスキルを持ちながらも、「通院が必要」「育児・介護中」「職歴にブランクがある」といった属性のために、既存の採用選考から排除されがちな層を示す言葉。

つまり、企業が既存の採用選考で取りこぼしている優秀層を取り込むための施策を洗い出し、人材不足の改善に活用しようというのが調査の狙いなのだ。

「クリーンな分煙環境」は、コミュニケーションの活性化にもプラス
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