多くの企業が採用選考で「取りこぼし」ている優秀層を、低コストで取り込める方法があるとしたらどうだろう。中小企業にとっては願ってもない話となるはずだ。本記事では、そうした優秀層の応募者数を増やすための意外な施策と、施策から生まれるメリットについて解説していく。
中小企業が直面する、「人材不足」という深刻な経営課題
企業全体の99.7%。これは、国内の企業総数において、中小企業が占める割合だ。中小企業庁が発表した「中小企業白書2025年版」によると、国内の企業総数は約337万社。そのうちの約336万社が中小企業となっており、従業者も全従業者数の69.7%にあたる約3310万人にのぼる。
つまり、日本で働く大多数が中小企業でキャリアを築いているわけだ。中小企業は日本の産業構造を根底から支える「屋台骨」といっていいだろう。
しかし、規模が小さいがゆえに経営者がプレーヤー化したり、業務が属人化したりといった状況に陥りやすく、大企業に比べて課題やリスクが表面化しにくいのも事実。そのため、対応が後手にまわり、価格転嫁の遅れやデジタル化の遅れ、後継者不在といった課題に直面している中小企業は、けっして少なくない。
なかでも、最大の経営課題となっているのが人材不足で、日本商工会議所と東京商工会議所が実施した調査によれば、中小企業の約63.0%が「人手が不足している」と回答し、そのうち60%以上が「非常に深刻」「深刻」だとしている。
■人手不足の状況と深刻度 人手が「不足している」との回答が63%
こうした課題の背景にあるのは、少子高齢化による生産年齢人口の減少だが、理由はそれだけではない。大企業との待遇格差や知名度の低さ、転職に対する抵抗感の薄れなども、優秀な人材が大企業に流れやすくなる大きな理由だ。
中小企業が人材を確保するための施策は、「賃上げ」だけではない
前述したように、人手不足は多くの中小企業に共通する課題だが、度合いが大きくなれば商品・サービスの品質低下や、市場競争力の落ち込みを引き起こす可能性が高まる。また、従業員1人当たりの業務が多くなれば、長時間労働が常態化し、現場のモチベーション低下やヒューマンエラー、離職率の上昇にもつながりかねない。