有効な対応策は?

円安急進と高市政権が置かれた現状を、専門家はどう見ているのか。

農林中金総合研究所理事研究員の南武志氏は、163円突破の直接的な引き金は中東情勢にあるとしつつ、「160円台に入ってから当局の度重なる『口先介入』にもかかわらず、米との関係からすんなり為替介入を実施できないとの印象がマーケットにはある」と指摘。リスクオンの状態にもあり、円売りが進みやすくなっていると述べた。

政府が取り得る有効な対応策は、日銀による政策金利の引き上げを容認することだとの認識を示した上で、「財政運営についても、放漫財政との懸念を払しょくするような政府側の発信が大切だ」と語った。ホルムズ海峡封鎖による米産原油の輸入拡大で米の対日貿易赤字が縮小傾向にある中、米債売りにつながる為替介入は「ハードルが高い」とも分析した。

野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は、イラン情勢に次ぐ円安の引き金として、「骨太の方針で日本の財政への懸念、政府の日銀に対する介入懸念が払しょくされていないこと」を挙げた。政府には財政悪化の懸念を解消する具体的な取り組みが求められるとし、「財政運営目標を債務残高対国内総生産(GDP)比に変更したことは問題だ。従来通りプライマリー・バランス(PB)黒字化をしっかり目標に掲げることが必要になる」と強調した。

骨太の方針に日銀の独立性が加筆されたことにも触れ、「金融政策の具体的手法は日銀に委ねると発信すること自体が、大きな方向性は結局政府が決めるのでは、との憶測を呼ぶ」とも警告。「今後さらに円安が進む可能性は十分にある」との見方を示した。

(鬼原民幸、竹本能文 グラフィック作成:田中志保 編集:橋本浩)

[ロイター]
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