David Lawder

[メキシコ市 21日 ロイター] - 米国とメキシコの通商交渉担当者は21日、自由貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の見直しに向けた3回目の2国間協議をメキシコ市で開始した。協議は3日間の日程で行われる。

米政府は1日、USMCAの2042年までの延長に合意しなかったと発表。これによって失効する36年までの10年間は、毎年見直しを実施する流れになった。

今回の協議では自動車、鉄鋼、アルミニウム、農業、労働分野のほか「経済安全保障」が主要議題となる見通し。米国が求めているのは、中国などアジア諸国がメキシコやカナダ経由で優遇措置を利用して米市場にアクセスすることを防ぐための域外製品への貿易障壁強化だ。

中国メーカーのメキシコ自動車市場での存在感拡大も論点の1つとみられる。中国車の販売台数は今年上半期に前年同期比30%増となり、市場シェアは14%から17%に上昇した。米国はメキシコやカナダに対し、自動車や部品、鉄鋼、アルミニウムなど域外国製品への規制強化を要求している。

また米政府は5月の協議で、北米生産車両の価値の50%を米国由来とする新たな原産地規則を提案しており、実現すれば自動車業界に大幅なサプライチェーンの再編を迫る可能性がある。

米商工会議所はUSMCAを巡って3カ国の枠組み自体や関税ゼロの市場アクセス、厳格な執行体制を維持するよう政権に求めている。

23日から協議に加わる米通商代表部(USTR)のグリア代表はトランプ政権の最優先課題について、カナダ、メキシコとの貿易赤字の削減と製造業の米国内への回帰だと説明した。

米商務省統計に基づくと、2025年のメキシコに対するモノの貿易赤字は前年比17%増の1970億ドルに拡大し、対カナダ赤字は21%減の483億ドルだった。

グリア氏は、トヨタ自動車によるテキサス州工場の拡張など、自動車メーカーの米国内投資を例に挙げて「より多くの自動車生産を米国に呼び戻したいというのが大統領の狙いだ」と発言した。

メキシコのラサリ駐米大使は年内の新協定締結に期待を示した上で「時間を失うことは競争力や投資機会の損失につながる」と述べた。さらに北米域内への製造業回帰という米政権の目標に関しても、メキシコは基本的に共有しているとの認識を示した。

今回の協議の直前に米政府は約200億ドル相当のカナダ製品に新たな関税を課すと発表。対象は自動車、鉄鋼、アルミニウム、乳製品などを巡るカナダ側の措置への対抗策とされる。こうした亀裂の深まりを受け、USMCA見直し交渉ではカナダが事実上脇へ追いやられる状況が続いている。

グリア氏は、メキシコに関しては報復関税を課さず、知的財産権保護や輸出管理の強化などで協力的な姿勢を示していると評価している。

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