Florence Tan Nidhi Verma
[シンガポール/ニューデリー 21日 ロイター] - 中国とインド向けにサウジアラビア産原油を積載した石油タンカー3隻が21日、紅海でUターンし、紅海の出口にあるイエメン沿岸を避けてスエズ運河に向かった。イエメンの親イラン武装組織フーシ派の警告を受けた動きとみられる。
3隻は「シン・ロン・ヤン号」「ロドス号」「アマゾン号」。今回の進路変更は、主要海運ルートの新たな混乱につながる可能性を示唆しており、ホルムズ海峡の封鎖で生じている世界のエネルギー市場での供給不足に追い打ちをかける恐れがある。
フーシ派は20日、サウジに対する海上封鎖を宣言。海運会社に送った電子メールで、サウジの港湾での貨物の積み下ろしを行わないよう警告し、こうした活動を行った場合は「いかなる場所においても」標的となる可能性があるとした。
フーシ派は、紅海の入り口にあたるバブエルマンデブ海峡沿岸を含むイエメン北部を支配下に置いている。戦争によってホルムズ海峡が封鎖されて以来、サウジの紅海沿岸ヤンブー港は中東産原油の主要な代替輸送ルートとなり、日量数百万バレルの輸出を可能にしてきた。
保険業界関係者によると、直近24時間で戦争リスク保険の費用は既に上昇しており、サウジ港湾に対するリスク評価が見直されている。
英国の海事セキュリティー会社アンブリーは「サウジの港湾に寄港する船舶は、紅海通航を再検討し、強化された緩和策の実施を検討することが望ましい」と述べ、サウジ港湾に寄港する船舶は「高リスクにさらされている」との評価を示した。
海運データによると、20日にヤンブー港で200万バレルのサウジ産原油の積み込みを完了した超大型原油タンカー(VLCC)「シン・ロン・ヤン号」は当初、紅海を出て中国に向かう予定だったが、Uターンしてスエズ運河に向かった。
データによると、インド向けにサウジ産原油約70万バレルを積み込んだ小型タンカー「ロドス号」も21日、Uターンしてスエズに向かった。同じくインド向けに21日に原油を積み込んだスエズマックス型タンカー「アマゾン号」もスエズに向かった。これらのタンカーは21日にトランスポンダー(船舶自動識別装置)をオフにした。
「ロドス号」と「アマゾン号」を運航するダイナコム・タンカーズ・マネジメントと、「シン・ロン・ヤン号」を運航するコスコ・シッピング(中国遠洋海運集団)は、コメント要請に直ちに応じなかった。
週内にヤンブー港に到着して原油を積み込む予定だった別のVLCC「ニュープライム号」も、紅海に入る前にオマーン沖で引き返した。運航会社の香港のアソシエイテッド・マリタイムはコメント要請に応じなかった。
3人の海運関係者によると、ヤンブー港では、既に紅海に入っている船舶やスエズ経由で到着する船舶への原油積み込み作業は引き続き行われている。船舶追跡データによると、スエズ経由で紅海に入ったタンカー「オリンピック・ラック号」は依然としてヤンブー港に向かっているほか、既にその付近にいる数隻の船舶も同港に向かっている。
ただ、タンカーがバブエルマンデブ海峡を経由して紅海を出るのではなく、スエズ運河を利用せざるを得なくなれば、地中海を出てアフリカ大陸を大きく迂回することになるため、アジア向けの出荷には数週間の遅れが生じることになる。
船舶ブローカーのクラークソンは21日のリポートで、「相当な軍事的資源が必要となるため実際に封鎖が実施される可能性は低いが、敵対行為が激化すれば、フーシ派がバブエルマンデブ海峡を通過するサウジ関連の船舶を標的にする可能性がある」と述べた。
同社は「フーシ派がこの地域の通航に影響を及ぼす場合、ヤンブー港からの輸出量が欧州向けにシフトするなど、原油貨物の再編成が進む可能性がある」と指摘した。