[20日 ロイター] - トランプ米政権は20日、カナダからの幅広い輸入品に50%の関税を課すと発表した。米国産の自動車、アルコール、乳製品に対するカナダの「差別的な扱い」への対応としている。
トランプ大統領は関税を課すに当たり、「1930年関税法338条」を発動した。同条項は、米国製品に対して差別的な扱いをしていると認定した貿易相手国に対して、大統領が最大50%の関税を課すことを認めている。
ホワイトハウスのファクトシートによると、関税の対象品目はワイン、ホッケースティック、セメントなど多岐にわたる。乳製品、家具、釣りざお、種子、衣類、かつらなど、他のさまざまな品目にも適用される。
米通商代表部(USTR)は、カナダからの約200億ドル相当の輸入品が関税の対象になると明らかにした。米国勢調査局のデータによると、これは2025年のカナダからの輸入総額3820億ドルの約5.2%に相当する。
USTRのグリア代表は声明で「政権が貿易相手国との公正かつ互恵的な貿易協定の確保に努める中、カナダは他のパートナーや同盟国とは異なり、貿易の再均衡化と安全保障上重要な分野における米産業保護に向けた米国の取り組みに対し、報復を続けている」と述べた。
カナダのカーニー首相は声明で、貿易紛争を解決するため米政府に包括的な提案を行ってきたとし、トランプ政権によるこれまでの関税は北米貿易協定に違反していると主張した。
また「この貿易紛争は特に米国の家庭のコストを押し上げてきた」とし、「カナダは両国民の相互利益のため、米国との未解決の問題に取り組むため集中的に協議する用意がある」と述べた。
関税は8月19日に発効し、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の対象品目かどうかにかかわらず適用される。ただし、エネルギー、カリ、魚類、重要鉱物、既に通商拡大法232条に基づく関税の対象となっている製品は除外される。
ホワイトハウスは関税の理由として、カナダの「保護主義的」な乳製品制度に加え、同国が米国からの輸入車に関税や割当量を設定する一方、他国からの輸入車にはこうした措置を課していないことを挙げた。カーニー氏は、USMCAに違反する自動車部門への米関税に「権利として、単に対応しただけだ」と述べた。
米政府はまた、カナダの大半の州が以前の米関税への対抗措置として米国産アルコールの販売を停止したことも問題視した。
ホワイトハウスによると、過去1年間でカナダの米国産自動車輸入は22%、米国産アルコール飲料の輸入は81%、それぞれ減少した。
1930年関税法と同法338条は米国の大規模関税引き上げとそれに続く報復措置で知られ、1930年代の世界恐慌を悪化させたと経済史家らは指摘する。
ブッシュ(子)政権で通商当局者を務め、同法を広範に研究してきたジョン・ベロノー氏によると、338条は各国が関税を平等に適用し、米国の輸出を犠牲にして一部の国に優遇税率を与えないようにすることを目的としていた。
同氏によると、過去にはフランクリン・ルーズベルト大統領らが338条による関税発動を検討したものの、トランプ氏が20日に大統領布告を出すまで、実際に発動した記録は見当たらないという。