Kate Abnett
[ブリュッセル 17日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会は17日、排出量取引制度(ETS)の見直し案を発表した。域内企業による二酸化炭素(CO2)の排出が認められる期間を延長する一方、クリーン技術への投資に対する資金支援を強化する。
ETSで認められるCO2排出枠の総量は現在、毎年4.3%ずつ削減する仕組みとなっているが、新たな案では削減率を2031年から約3.7%に縮小し、36年以降は1.7%に緩和する。
EUは企業の競争力維持を支援するため、一部のCO2排出枠を無償で配分している。欧州委は条件付きで企業への無償排出枠を増やし、期間を延長する案を提示した。
欧州で脱炭素化に投資する計画を持つ企業に対し、無償排出枠の80%を先行して配分する。残りの20%は投資の実行後に付与する。
鉄鋼やセメント製造などの部門については、無償割当の終了時期を当初予定の34年から38年まで延長することを提案した。
ETSは13年以降、2600億ユーロの収入を生み出してきた。欧州委は各国政府による収入の使途に関する規則を厳格化し、50%をETSの対象産業の脱炭素化に再投資するよう提案した。ただ、ETS収入を財政の穴埋めに充てている政府からは反発を受ける可能性がある。
ETSの対象を小型船舶に広げるほか、欧州を出発し5000キロメートル以内の目的地に向かう国際線の排出も対象に加えることを提案した。これにより、トルコや中東のハブ空港に向かう便の排出が対象となる可能性がある一方、米国行きは除外される。
EU加盟国と欧州議会は今後1年をかけて、ETS改正案の最終決定に向けた交渉を行う。